ワイドホイールをツラウチギリに収めるためリヤのリジッドアクスルを捨てた
「まずはインターネットや雑誌を見まくって、自分の理想に近いものを探します。気に入らない部分はもちろん、他車種用しか設定がない場合も含めて加工。ちなみにリップはシックスセンスのアルファード用、ディフューザーはクールレーシングのスイフト用ですね。ヘッドライトはノーマルですが、中身はF50シーマ風のバルカンヘッドライト、ポジション&ウインカー兼用のL型LEDライトを組み合わせ、ひと味違う表情をメイクしてフェイスを引き立てています」
車高調も(日正タイヤ)3セット目で、バネレートを何度も変更してベストな低さと絶妙なキャンバー具合を検討。 リヤのホイールアーチ内に収まるのはSSRのSP4R。前後ワイドな8Jを前後同じ角度でインストールするために、構造上真上にしか動かないリヤのリジッドアクスル捨てて、左右の足が別に動くアヒル商会の独立アクスルを投入。加えて3cmアーチ上げすることで、十分なストローク量も確保するなど、ビジュアル、乗り味ともに理想追及に妥協はない。
ドレコン優勝ではなく、納得できるクルマに乗りたいからカスタムする
ビジュアル面だけでなくパフォーマンス面も強化。カスタム仕様のターボエンジンをスワップした上で、大型インタークーラーを前面にレイアウト。 エンジン本体やタービンには手を加えていないが、HIGHスパークのダイレクトイグニッション、HKSのブローオフとエアクリーナーを装着し、TAKEOFFのマジックタンクでブーストアップ。ブレーキはイデアルのキットで4輪ディスク化するなど、単なるビジュアルカーではなく、曲がる、走る、止まるを兼ね備えた全方位手抜きなしの仕上がりなのだ。
ドレスアップカーコンテストでも上位を狙える完成度の高さだが、当のTさんはあまり関心がなく、「カスタマイズカーが好きで自分が納得できるクルマに乗りたい」という思いで製作に没頭しているそうだ。
「やるからにはとことん突き詰めたいし、いまもアイディアが山ほどあります。終わりがないのが楽しいし、やりがいがあるのですが、エクステリアの仕上がりに納得できないので、いつまでたってもインテリアに着手できないのが悩みでしょうか」 作業が進むにつれ、自宅にはカスタムの材料だけでなく、工具や機材も手に入れるなどクルマ趣味に投資し続けているTさんはまだ29歳。10年先、20年先、どのようなマシンメイクを手掛けているのだろうか? 熟練となったその日にまた会ってみたいものだ。