手作りだから内外装も充実のラインアップに
手作りゆえ、インテリアが25種類、ボディカラーは300色以上から選べたのもオロチならではで、そもそもコンセプトは「ファッションスーパーカー」なのであくまでも雰囲気重視。パワーも233psしかなく、ミッションもATのみとなれば、確かにリアルスーパーカーというよりも、ファッションとして乗って雰囲気を楽しむ超個性モデルというのは正しいかもしれない。実際に運転しても、タイトな運転席や低いシートなどは特別感たっぷりなものの、運転自体はフツーに走る感じだった。
気になる価格は1110万円で、その後「自動車人気復興大作戦」として廉価版の大蛇・零(オロチ・ゼロ)も登場。こちらは934万500円で、年間最大20台のみの受注とした。
仕様変更や特別仕様車時代が続いた2010年代
その後も、意外に長く存続したのもオロチの特徴で、2009年モデルでは豊富なカラーバリエーションはオプションにして、標準色を設定することでコストを抑制。同時にカーボンパーツを取り入れたその名も兜(カブト)を5台限定で発売した。こちらの価格は1380万円だった。
2010年モデルでは244万円も値下げしつつ、ここから特別仕様車戦略へと移行していく。2009年12月に出たのが、アメリカのギターメーカー「リッケンバッカー」とのコラボで、5台限定。ギターをイメージした木目調のインパネなどを採用していた。
半年後の2010年6月には前後エアロや4本出しマフラーを装着し、内装には手縫いのアルカンターラをあしらったゴールドプレミアムを20台限定で発売した。その後、しばらく音沙汰がないと思いきや、2014年にファイナルオロチを5台発売して、生産を終了すると発表し、話題になったのも記憶に新しい。前後エアロや19インチの大径ホイール、ゴールドパールと不夜王という専用ボディカラーなど、最後にふさわしい内容で、オネダンは1270万円だった。
オロチの歴史は基本的にここでおしまいだし、当時は当然のごとくそう思っていた。しかし2016年にセブンイレブンとのコラボである「エヴァンゲリオン オロチ」を1台限定で発売。
2018年には光岡自動車創業50周年と漫画家である永井豪氏のデビュー50周年を記念しつつ、デビルマンを現代流にリメイクした『デビルマン クライベイビー』の劇中車としてオロチが登場するのに合わせた、「デビルマン オロチ」をこちらも1台限定で発売した。ベースはどちらも自社所有のオロチで、抽選で決められた当選者に販売された。
光岡自動車の挑戦は現在もこの先も続いている
結局、10年以上もトピックスを提供し続けたスーパーモデルという点では、国産唯一無二だったオロチ。シャーシから作るのはさすがに大変なようで、その後は型式認定車は出ていない。しかし、ご存知のように往年のアメ車テイストたっぷりの「ロックスター」やアメリカンSUVの王道的デザインをまとった「バディ」など、クルマ好きの心に刺さるモデルにシフトしていて、実際に販売も好調なのは注目だ。