ハイラックスも参戦! 異種格闘技戦の様相を見せる全日本ラリーが面白い
今年の全日本ラリー選手権はなにやら賑やかだ。トヨタがラリーを戦うために開発したという「GRヤリス」、WRCを戦う世界基準のR5マシン「シュコダファビアR5」の参戦に加え、第5戦唐津ではなんとワンボックスの「ハイエース」までも登場。 そして7月の北海道で開催された今年初のグラベルラリー「ARKラリー・カムイ」では、ピックアップトラックの「ハイラックス」が登場した。
出場したのはTRDとオフロードパーツメーカーのJAOS(ジャオス)。全日本ラリー選手権として初のクロスカントリー車両クラス「OP-XC」の新設によって参戦が可能になった。両チームともに東南アジアでのクロカンラリーや国内でのエキシビジョンレースの実績は豊富であったが、JAF規格の国内の公式戦にエントリーするのは初めてだ。
2台のハイラックスは異なるパワーユニットを搭載して参戦
TRDとJAOSのハイラックスは、見た目こそ同じハイラックスではあるが中身はかなり異なる。
TRDのハイラックスはタイで販売されている2.8Lディーゼルターボモデル(タイでの販売名はハイラックス・レボ)。一方、JAOSはオーストラリア仕様の4.0L V6のガソリンモデル。ちなみにどちらもAT車だ。TRD、JAOSともに今回のコースに合わせたセッティング変更は行っておらず、各々が活動してきたフィールドに合わせた仕様のままでの参戦となった。
ちなみにJAOSのマシンはタイを起点に東南アジアのラフロードで約2000kmを走破するラリーレイド、アジアクロスカントリーラリー(以下、AXCR)参戦のためのもので、2019年にクラス優勝を遂げたマシンだ。参戦体制もAXCRを戦ってきたTEAM JAOSのスタッフが担当した。
TEAM JAOSはJAOSの本拠地であるトヨタディーラー「群馬トヨタ」のメカニックが、マシン製作や現地でのサービス活動を担当。ドライバーはJAOS開発部の能戸知徳選手、コ・ドライバーはKYBでサスペンション開発を行っている田中一弘選手という混合チーム。ともに海外でのラリーレイド参戦のための布陣であり、このチームクルーとの全日本ラリーは初参戦だ(編集部注:能戸選手、田中選手は2018年嬬恋ラリーにGDB型インプレッサWRX STIでスポット参戦の経験あり)。 一方、TRDは全日本ラリー参戦経験が豊富な平塚忠博選手、鈴木 裕選手という強力なコンビとなる。
広くはないグラベルコースを巨体のピックアップトラックが疾走
この2台の走りだが、ほかのクラスとは比べ物にならない大きなマシンが、全日本ラリーのコースを疾走する姿はかなりの迫力だ。ちなみに全長は5m以上あり車重は2tを超える。そして林道に響きわたるJAOSのマシンが放つV6 NAガソリンエンジンのエキゾーストノートは独特だ。
今年の全日本ラリーでは初めて有観客開催となったARKラリー・カムイだったが、その新鮮さも相まって観客席からも好意的な声が多く聞かれた。選手権外のオープンクラスのため総合順位のリザルトには反映されないが、タイム的にはTRDが総合22位、JAOSが25位に匹敵する。