誰もが憧れた直線基調スタイルの「2代目セリカXX」
トヨタの2代目セリカXXの登場は1982年(昭和57年)7月。筆者の脳内システムはその年のビルボードチャートに並ぶ楽曲を見て「ああ、あの頃かぁ」と認識する仕組みになっているので、当時のチャートを当たってみると、上位にランキングされていたのは、Eye Of The Tiger/Survivor、Centerfold/J Geils Band、Hurts So Good/John Couger Mellencamp、Ebony And Lvory/Paul McCartney、Gloria/Laura Braniganなどなど。これ以上眺めていると原稿を書く手が止まってしまうので止めておくが、当時のFM放送や友人から借りたLPからSONYのカセットテープにダビングしてはクルマの中でもよく聴いた曲ばかりで、涙なくしては語れない。
……と、そういう話はさておき2代目セリカXXの話に軌道修正すると、この2代目セリカXXは3代目のセリカと同時の登場だった。
“体感、ツインカム6”と表紙にある写真の薄手の簡易カタログは、多分ディーラーに出向いて貰ってきたものだが、ご覧のとおり、XXとセリカLB、クーペの3モデルがひとまとめに括られ“ワールド・スーパー・スペシャルティーズ/世界、新CELICA”として訴求されていた。
いずれにしても、4気筒系セリカとともにスポーツイメージを訴求、XXは“スーパー・グランド・スポーツ”としてそのトップモデルである。この頃、4気筒系のセリカにも登場直後に1.8ℓツインカムターボの3T-GTEU型が設定されている。
エンジンのアピールはF1とWRCの大御所たちで
そして、セリカXXでは、カタログにあのロータスの生みの親でありF1の設計者だったアンソニー・コーリン・ブルース・チャプマン(コーリン・チャプマン)の姿が。“2800GTヨーロッパ走行試験車”のドアを開けて横に立つ写真も載せられていて、明確な記述はなかったものの、ロータスが開発に関わったということだった。
ちなみに同年代に存在したロータス・エクセルという、5速マニュアルミッションを始めトヨタ製のパーツを使ったXXに雰囲気が似てなくもないモデルがあり、何とXX(ソアラ)の15インチアルミホイールがそのままのデザインで“採用”されていた。カタログにはほかにラリーストのオベ・アンダーソンも登場し、スポーツイメージをアピールしている。
実車は初代XXとは打って変わってエッジの効いた直線的なスタイリングが特徴。ホイールベースは4気筒のセリカより115mm長い2615mmで延長分はノーズ部分に充てられて、ここに6気筒エンジンが搭載され、ノーズ先端にはリトラクタブルヘッドライトと、2段構えのようにも見えるユニークなバンパーを採用。このバンパーが艶のあるブラックで塗装されている点も特徴だった。
フロントバンパーは後に改良が重ねられ、一体化されたフロントスポイラーを最終型では15mm下げ、前方に50mm延長することで空力をより改善した……といった記述がカタログにも記載されている。
同様にリヤゲートも当初はグロスブラック仕上げで、特徴的な2トーンを織りなす外観だったが、後にボディ色と同色化、サンシェード一体型のリヤスポイラーが用意された。
エレガントなスポーツカーは“バーガンディ”の内装も
スタイリングではほかに、途中からドアミラーが全車に標準装備となっている。日本車のドアミラー化が始まった頃で、カタログに“電動リモコンドアミラー”と書いてあるのを見て、届くのだから手で調節すればいいじゃん……などとチラッと思ったものだ。
開口部330mm×800mmのサンルーフも、初代XXは手動式だったが、2代目では電動式でウインドウディフレクターが自動で立ち上がるタイプへと進化している。
インテリアはひと足先に1981年2月に登場した初代ソアラの流れを汲んだもので、当初のバーガンディ色の内装色は当時をしのばせる。エレクトロニック・ディスプレイメーター(デジタルメーター)を採用したインパネは4気筒のセリカと基本は同じながら、ステッチ(ただしフェイク)を施した表皮はXXだけのもの。
なかなかゴージャスなデザインのGTの前席スポーツシートは8ウェイの各種調節付き。装備関係では女性の声で半ドア警告など各種の注意を促すエレクトロニック・スピークモニター、ツイントリップメーター、消費燃料など5項目を表示するクルーズコンピューター、電磁式ドアロック、電動サンルーフといった充実した装備が与えられた点も見逃せない。