過激な改造は愛車を痛めるだけじゃ済まないもとも……
いまや絶滅危惧種となった過激な改造車。やり過ぎなカスタムスタイルは道交法違反に触れるだけでなく、安全が担保されていない違法改造車はほかの人の命や財産に危害を与える可能性もある。また、違法改造はクルマ自体にもダメージを与え、クルマの寿命を短くしてしまうのだ。ここでは過度な改造例を挙げ、その危険性とリスクについて解説する。
「車高短(シャコタン)」は弊害がテンコ盛り
1980年代を席巻したシャコタン。漢字で「車高短」と書かれるごとく、車高が短い(低い)クルマを意味している。最近では「ローダウン」と呼ばれ、珍走団的なイメージを払拭しているが、当時のシャコタンは不良のお約束であり、車高の低さを競い合うことで最終的には「ノーサス」と呼ばれるコイルスプリングを外したクルマまで登場した。
シャコタンとローダウンの違いは「車高」を下げることは同じだが、ローダウンは強化スプリングやショックアブソーバーに換装することで、性能を上げているのに対してシャコタンは性能を劣化させていることにある。
車高を下げたシャコタンは路面の凹凸をダイレクトに拾うことになり、衝撃によってボディが歪んでしまうことも多発。車高を下げ過ぎたことで路面とのクリアランスが小さくなり、飛び出したマンホールにオイルパンを強打し、オイルが漏れたことでエンジンの焼き付きを招くことも少なくなかった。
「鬼キャン」は百害あって一利なしの危険カスタム
鬼のようにキャンバー角を付けた「鬼キャン」のルーツは、70年代の日産スカイラインやローレルなどの4輪独立懸架サスから始まった。この方式を後輪に採用するクルマは車高を下げると「ハの字」と呼ばれるように、極端にネガティブキャンバーが付いてしまうのが特徴で、その進化版が前後輪にまで「ハの字」を与えたスタイルとなる。
ある程度のキャンバーならば、レースなどのコーナリング性能を上げる意味合いもあるのだが、ファッション的な様相を重視した鬼キャンは百害あって一利なし。ハブやベアリングを摩耗させてしまうだけでなく、足まわり全体に負担を掛けることになる。
また、タイヤも同様であり内側だけを接地させるスタイルは偏摩耗や片減りの原因となりバーストを起こす可能性も……。路面に対して十分な接地が得られないということでグリップ力が発揮できず、ドライ路面だけでなくウエット路面ではスリップ事故を誘発する可能性が高まってしまう。