欧州メーカーは大衆車的なEVも車種に加えている
さらには、モーターの駆動力制御はエンジンの100倍速く行えることから、EVかプラグインハイブリッド車(PHEV)かの選択はあるにしても、未舗装路の走破性を商品性とする4WD車の電動化も当然進むのではないか。たとえばアウディは、e-tronのプロトタイプEVでパリダカに来年参戦すると表明している。
一方、ポルシェはタイカンを初のEVとし、それはカイエンやマカンのようなSUVではない。スポーツカーメーカーとして、初のEVをSUVとするわけにはいかなかったのだろう。そしてタイカンを基に、アウディもe-tronGTを発売している。
BMWは、i4という4ドアクーペのEVも車種に加えている。メルセデス・ベンツは、最上級4ドアセダンとなるEQSを発売する。VWには、ゴルフに相当するID:3がある。イタリアのフィアットは、チンクエチェントの愛称で親しまれてきた500を、500eとして発売する。
以上のように、SUV人気という時流を意識しながらも、欧州メーカーは自社のプレミアム性やスポーツ性、あるいは代表する個性を主張する大衆車的なEVも車種に加えている。
セダンやハッチバックといったEVも次第に加わる
その意味では、N360やシビックに象徴されるホンダが、ホンダeというコンパクトハッチバックのEVでその第一歩を印したのは理解できるし、理にかなってもいるのではないか。
また軽自動車のハイトワゴンが国内では人気を得ている。そこに適応するIMkが日産から発売予定であり、軽自動車の開発と生産で提携する三菱自動車工業からも同様の軽EVが発売されることになるだろう。
EVは、リチウムイオンバッテリーの原価によって車両価格が高めの設定となっている。その価格低減には、確実な新車販売が必要だ。その意味でSUVやクロスオーバーでの導入や車種の充実があるのは事実だが、それだけで新車市場を満たせるものではなく、これからはコンパクトハッチバックや、セダンなどのEVも次第に加わってくるだろう。そのとき、EV市場もさらに活気づくのではないか。
そして日産については、もし次期GT-Rの可能性があるなら、タイカンやe-tronGTと競合する、4輪駆動EVで登場してほしいと願う。