山岳救助での活躍を想定した「豊田自動織機」の新たな提案
東京オートサロン2020で、豊田自動織機が手掛けたトヨタRAV4が大きな話題を呼んだ。ラダーやスライドデッキを搭載し、アウトドアに特化したコンセプトカー、RAV4 3D ACCESSだ。
あれから1年、「RAV4 5D ADVENTURE(RAV4 5D アドベンチャー)」へと進化。今年の東京オートサロンで披露予定だったが、新型コロナウイルスの影響により中止となってしまい、会場にてアンベールすることはできなかった。
今回、オフロード系の自動車誌「ヨンクスタイル」において取材に成功。過酷な現場で働く人たちの声を聞き取り、プロ仕様車を具現化したというコンセプトモデルを紹介したい。
消防隊や救助隊のリアルな声を反映
トヨタのグループ会社「豊田自動織機」は、織機やエアコン用コンプレッサー、フォークリフトなどの分野で世界一のシェアを誇るグローバルカンパニーだ。自動車部門ではトヨタの人気SUV、RAV4のデザインから設計、生産までを請け負う。
今回のコンセプトカーも完成車メーカーだからこそ実現できたことは言うまでもなく、まずは各方面のプロへニーズについてリサーチを徹底したという。「消防隊、山岳救助隊、TV中継車クルー、道路パトロール隊など、プロフェッショナルたちの声は大変参考になりました。有事の際、安全かつ確実に現場へ突入し、救助活動を遂行すべく、あらゆる彼らの想いをフィードバックしています」とは開発チームのひとり、川口氏。
悪天候時の運転を補助するAR機能
そのひとつが「空間リンク機能」の強化だ。これはバンパーにセットされたキューブリンク(ライダー)が、路面状況をスキャンして地形を読み取り、フロントウインドウに障害物や進行方向を映し出すというもの。フロントウインドウをARスクリーン化することで、濃霧などの視界不良時でも安全に現場へ突入できる工夫が投入された。
「起伏が激しい山岳地は、突然の悪天候も考えられます。キューブユニットでスキャンした障害物や、安全な経路を示すピンクの帯を投影することで、そのルートに沿って救助隊は安全確実に現場へ送り込むことができます。ARを使って危険を可視化し、運転を補助するわけです」と、川口氏。