その気はなくともうっかり違法改造!
自分としては完全にセーフのつもりだったのに、じつはアウトで違反になってしまったカスタム。実際にキップを切られたかどうかは別として、後から気付いて焦った経験がある人も多いだろう。また新品の状態で装着したときは合法でも、経年劣化で違法になりがちなパーツもある。それらの代表例をいくつか紹介してみよう。
ローダウン:スプリングのヘタリで最低地上高を下回ることも
まずはドレスアップでもチューニングでも定番のローダウン。いかに鉄製といえどスプリングの劣化は避けようがなく、当初は最低地上高が保安基準をクリアしていても、何年も経てばヘタリが発生して車高がさらに落ちることがある。
そして合法と違法の境目である9cmを保てなくなってしまう……ということも大いにあり得るので注意してほしい。またサーキットで車高を保安基準より下げ、面倒だからといって元に戻さず帰るのも当然ながらNGだ。
タイヤのハミ出し:保安基準改正を「勘違い」している人も?
同じ足まわりに関係するパーツでいえばタイヤのはみ出し。2017年に保安基準が改正され、10mmまではタイヤが出てもOKと考えている人も多い。だが、正確には地面へ向けて垂直に引いた線をタイヤの中心点に合わせて、その線とフェンダートップが当たる部分から前方に30度、後方に50度の角度の範囲内で10mm以内という細かい条件が付く。
マフラー:新規制により流用チューンも一部NGに
続いては排気系のうっかりな違反。直管マフラーや触媒ストレートパイプなんてのは論外だが、車検対応品でもサイレンサー内のグラスウール、また触媒が劣化して音量や排ガスが基準値を上まわる、なんてのは最近に限った話じゃなく昔からよく耳にする。
それに加えて2010年4月1日からあとに生産されたクルマは、新たな規制に対応する『性能等確認済みマフラー』を使わなければならない。同じ型式のクルマであっても駆動方式や過給機の有無により、マフラーは個別に国土交通省の認証を受けなければならなくなった。
例えばターボ用のマフラーをNAの同一型式のクルマに無加工で流用したとする。仮に排ガスも音量も基準値に収まっていようと、違法改造となり車検をクリアすることはできないのだ。
知識のあるプロショップで購入するならいざ知らず、個人売買や通信販売の際はくれぐれも気を付けるべし。
エンジンの排気量アップ:税法の抵触に要注意
次はエンジンの排気量アップ。例えばEK9シビックにDC2インテグラのB18Cを搭載するなど、エンジン型式が変わるケースは誰もが構造変更が必要とわかる。しかし、つい見逃してしまうのは同形式のエンジンを使い、ボアもしくはストロークアップした場合だ。
同じエンジンでも排気量が変われば構造変更をしなければならず、シルビアや180SXのSR20(正確には1998cc)を2.2L化したようなときは、自動車税の額も変わるので税法にも抵触してしまうので要注意。
サイズと重量:極端な軽量化も実はNG
最後は外装というかボディのサイズと重量について。軽自動車や乗用車は車検証に記載されている寸法から、長さプラスマイナス30mm/幅プラスマイナス20mm/高さプラスマイナス40mm以内であれば問題ない。
同じく重量は軽自動車と5ナンバーの普通乗用車がプラスマイナス50kg、3ナンバーはプラスマイナス10kgまでの変化なら保安基準をクリアできる。つまりエアロパーツの装着や加工によってボディの寸法が上記の範囲を超えたり、レーシングカー顔負けの極端な軽量化をすると違法になることがあり得るのだ。
まとめ:プロショップに相談しながらカスタマイズが○
ほかにもスモークフィルムの劣化による透過率の低下、ドラレコの取り付け位置といった『うっかり』は意外に多い。不安なときはノウハウのあるプロショップで確認してもらい、合法車両で安心かつ安全なカーライフを楽しもう。