サーキット走行の必需品「レーシンググローブ」を選ぶポイント
ヘルメットや長袖&長ズボンに加え、サーキット走行に必要な装備として、忘れてはいけないのがグローブだ。世の中には数え切れないほどの製品が出まわっているが、初心者が選ぶべきグローブとはどんなモノだろうか。
操作性と安全性を追求するもの
サーキット走行でレーシンググローブが必須とされる理由、それは『操作性』と『安全性』のふたつに分けられる。素手のままじゃステアリングやシフトノブが滑りやすく、大きな事故に繋がる操作ミスを起こしかねないし、緊張や車内の熱で汗をかけばその可能性はさらに上がる。
また車両火災が発生したとき皮膚が露出しているのは危険だし、クラッシュにより割れたガラスなどで傷を負う可能性も少なくない。ただし手を覆うことができれば何でもいい、というワケではないので注意が必要だ。例えば軍手。クルマに積んでいる人も多いとは思うけれども、用途はあくまで作業におけるケガの防止のためであり、決して運転を想定したアイテムではないのだ。
試しに軍手をしてステアリングを回してみよう。素手よりはるかに滑りやすく、正確な操作などは不可能とわかるはずだ。では滑り止めの付いた軍手はどうだろう。操作性に限定すれば素手よりマシかもしれないが、車両火災に対しては通常の軍手と変わらず無力。化学繊維を使わず難燃性に配慮した製品もあるとはいえ、あえてレーシググローブではなく軍手を選ぶ理由はないし、主催者としても見た目で判断できない以上は使用禁止とするしかない。
もうひとつは最近ではあまり見なくなった、指先が露出するタイプのドライビンググローブ。多くは革製で表面がパンチング加工されていたり、操作性に関しては申し分がないと思われる。
難燃性素材で広く手首まで覆うもの
続いて本題のレーシンググローブについて説明しよう。まずは見た目でわかりやすい形状から。耐寒用の手袋は別として軍手や作業用グローブは、あくまで指先から手の平までを覆っている。対してレーシンググローブは裾口が長く手首までカバーしており、その分だけ肌が露出するのを防ぎ安全性を高めているのだ。また素材はいわゆる公認レースと呼ばれるカテゴリーでは、ノーメックスに代表される難燃性の繊維を使わなければならない。FIA(国際自動車連盟)の認定を受けた製品であるかどうかを、競技の前に行われる車検で必ずチェックされる。
サイズはS/M/Lといった表記が目安にはなるものの、実際の寸法はメーカーによって微妙に異なっている。カタログやウェブサイトに掲載されているサイズチャートを参考にしたり、可能であれば実際の商品を試着したうえで購入するのがベスト。
最後に交換するタイミングを解説したい。生地が擦り切れたり穴が空いてしまえば当然として、表面に貼ってある滑り止めのシリコンなどが消えたら、本来の性能は発揮できなくなったと判断し買い替えるべし。出費を惜しんでドライビングに支障をきたしたり自分の身を危険に晒すより、消耗の激しさはたっぷり走り込んだ勲章と考えて早めの新調を心がけよう。