車体の大きさを感じさせない取り回しの良さを持つEV専用SUV
【ジャガーI-PACE】
ジャガーのI-PACEは、EV専用設計のSUVである。特徴はフロントボンネットフード下にエンジンがないことを強調する、キャビンフォワードによる独特な外観の造形だ。遠目に見てもI-PACEであることを発見しやすくしている。
なおかつ、車体の横幅の広いクルマだが、エンジン車では実現不可能なキャビンフォワードの造形が、運転席からの車幅感覚を掴みやすくしている。絶対値としての寸法は幅広くても、日常的な運転では扱いやすく感じさせる。
I-PACEも、EVとしての不満はほぼないに等しい。だが、あえてデメリットを探すとすれば、SUVであるだけに乗降性においては、座席位置が高めになることから高齢者にはやや難儀するかもしれない。
わかりやすく簡略化された画面表示は高齢者でも不安知らず
【テスラ・モデル3】
テスラ・モデル3は、量販EVとして同社渾身の1台だ。外観は普遍的な4ドアセダンの姿であり、トランクリッドがあって荷室が客室と分かれている。格上のモデルSも4ドア車に見えるが、じつはリヤハッチバックだ。
室内はスイッチ類を限定的にし、ダッシュボード中央の横に長いディスプレイを使ってのタッチ操作で、多くの機能を取り扱う。モデルSからの進化を大きく感じるのがまさにここで、一度操作方法を教わると高齢者でも扱いやすいと思われる身近な容易さがある。
自動車メーカーが考えたヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)ではなく、スマートフォンなどの発想から考えられた操作性により、扱いに不安がない。
画面表示も、情報の優先順位が明快で、余計な情報は煩雑に思わせない画面表示方法が採り入れられている。EV専門メーカーとしての面目躍如たる仕上がりで、車体寸法もちょうどよく、年配にも親しめるEVであるはずだ。
これもほぼ欠点がない。唯一といえるデメリットを挙げれば、やはりVtoH(ヴィークル・トゥ・ホーム)への対応がないことくらいだろう。大幅な車両価格の値下げも行われ、普及を勢いづける普遍的なEVといえる。