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GT-Rやビートに採用された「隠れた贅沢装備」! クルマ好きならグッとくる「多連スロットル」とは何か

アクセルレスポンスが良くなる!

 レーシングカーのエンジンを見ると、一気筒ごとに吸気ファンネルがついていて、妙にかっこよく見えたりする。あのファンネルの下にはひとつずつスロットルバルブがついていて、そうした各気筒に独立してスロットルバルブが付いているタイプを多連スロットル、あるいは独立スロットルという。

 量産車の場合、通常は直列3気筒でもV型8気筒でもシングルスロットルで吸入空気量を調整している。だが多連スロットルは、4気筒エンジンなら4つのスロットルバルブ、6気筒なら6つのスロットルバルブが付いていて、それぞれ「4連スロットル」(4スロ)や「6連スロットル」(6スロ)などと呼ばれている。

スロットルと吸気ポートまでの距離が近くなりアクセルのレスポンスが良くなる

 通常、ひとつで済むのにわざわざ多連化するメリットはどこにあるのかというと、ひとつはスロットルと吸気ポートまでの距離が近くなるので、アクセルレスポンスがよくなること。もうひとつは多連化することで、トータルのスロットル面積が大きくなり、吸入空気量が増えてパワーアップにつながること。

 もっともシングルスロットルでも、エンジンがノーマルであれば、スロットルの面積は十分足りているので問題ない。だがカムを変えたりボアアップしたり、ブーストを上げたりして、エンジンが吸い込む空気が増えた場合、このスロットル面積が効いてくる(シングルスロットルのビッグスロットルも同様)。

 もうひとつ、多連スロットルだと各気筒で吸入空気が均等に空気を送り込むことができるのもメリット。もっとも、こうした均一性やレスポンスは、電子制御スロットルとECUのセッティングで、シングルスロットルでも十分な性能を引き出せることも。

 実際、日産GT-R(R35)のVR38DETTエンジンは、独立スロットルではなく、片バンク(3気筒)にひとつのスロットルとなっていることからも、いまや多連スロットルの性能的な優位さはほとんどない。

NAなら吸気音も魅力的

 多連になるということは、部品点数が増えて、コストもかかり、回転をキレイに同調させるのも容易ではない。それでもエンジンルームを覗いたときに、メカメカしくってカッコいいし、NAなら吸気音もメチャクチャ魅力的になる!

 何より、シングルでも大差ないのに、わざわざ4連スロットルや6連スロットルを装着してくるクルマには、メーカー側のこだわりと心意気を感じるではないか。

 例えば直6の名機、RB26DETTを積んだ第二世代の日産スカイラインGT-R(R32、R33、R34)、BMWの歴代Mシリーズ、トヨタのレビン・トレノ(AE101、AE111)、日産パルサーGTI-R、ホンダ・ビートなどが、ノーマルで独立スロットルが選ばれていたクルマたちだ。

 このうち、レビン・トレノの4スロは、トヨタのほかのチューンド4A-Gに流用されることも多かったし(AE101用は42φ、AE111用は45φで、チューニングの度合いで使い分けた)、パルサーGTI-Rの4スロも同じSR20エンジンを積むシルビアなどに流用された。

 ちなみに86/BRZ(ZN6/ZC6)用の4連スロットルキットもSARDから発売されていて、価格は29万円。ウェーバーやソレックスのキャブの時代から、多連スロットル化はチューニングとしてのロマンがあるメニューで、今でもわかる人にはわかる魅力がある……。

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