BMW M235i&BMW M240i/230万円~(中古車)
世界を代表する高性能コンパクトFRスポーツも中古なら射程距離
中古車まで幅を広げると、魅力的なクルマが候補に上がってくる。あまり古いクルマだと維持するのが大変なので、今回は現行モデルに絞って3台をピックアップする。
筆頭に挙げたいのが、BMWのなかでもっとも小さなFRのスポーツクーペである2シリーズ。廉価版に2Lモデルも用意されているが、中古で買うなら新車のBRZよりも魅力的に映るグレードを選びたいところ。そこで、オススメしたいのが、上級モデルのM235i/M240i。M235iは最終の2017年式まで、M240iは最初期の2017年がギリギリ選べる。
シルキー6と呼ばれる伝統の直6エンジンは3Lツインターボ。M235iで326ps/45.8kg-m、M240iは340ps/51.0kg-mとBRZを大きく上まわるスペックを誇る。ATだけでなく6速MTが設定され、機械式LSDがオプションで選べたのは、走りに重きをおいたBMWらしい。なによりBMWが持つステータスは正直BRZよりも上。所有する満足度も高いはずだ。
ただし、足まわりは意外に柔らかく、ロールは大きめ。シフトフィールも大味でソリッド感に乏しい。スポーツ性能を望むならM2(最初期の2016年式で距離多めならが350万円台で見つかる)が存在する。プレミアムスポーツとして棲み分けたといえば正しい選択だが、ピュアスポーツ度という点ではBRZが上だといえる。
ルノー・メガーヌR.S./310万円~(中古車)
ニュル最速マシンのDNAが注入された本格FFスポーツも予算内!
ルノーのモータースポーツ部門を担当するルノー・スポ―ル社がチューニングを担当。ドイツのニュルブルクリンク・北コースでたFF最速タイムを記録した激辛ホットハッチ・メガーヌR.S.(記録したのはトロフィーR)も、2019年式までが350万円以下で選べる。
上級のトロフィーやトロフィーR、カップやMTモデルは予算オーバーだが、ATもトルコンではなくダイレクトな6速DCTで十分スポーツを楽しめる。エンジンは1.8L直4ターボ。最新モデルよりはやや劣るものの、279ps/39.8kg-m(現行は300ps/42.8kg-m)と1.5t弱の車重には十分すぎるもの。
堅牢なボディ剛性と「4コントロール」と呼ばれる4輪操舵システムの仕立ては抜群で、操作に対するインフォメーションが絶妙だ。ドライバーに「いま、クルマに何が起こっているか」をステアリングを通じてリアルに伝えてくれる。電子デバイスの介入も嫌味がなく、乗り心地を含めて最良のFFスポーツと呼ぶにふさわしい。
BRZもそれに近しい良さはあるが、パフォーマンスの面まで含めるとメガーヌが上。個性的なエクステリアは万人受けするとは言い難いことと、内装に色気が薄い点がイマイチなのがマイナス点か。ルックスが受け入れられるならかなり魅惑的だ。
スバルWRX STI/290万円~(中古車)
メーカーの技術力の高さを存分に味わえる熟成のAWDも手に入る
国産屈指の4WDスポーツとして、いまだ人気が高い同門のWRX STIも予算内。残念ながら相場が高騰しているため、6万km以下で手に入るのは2015年式まで(10万kmオーバーなら2017年式まで広がるが……)。今回取り上げる中古車では、もっとも過走行なモデルとなる。
セールスポイントは熟成されたエンジンと、AWDシャーシが織りなす抜群のシンクロニティ。308ps/43kg-mを発揮するEJ20は、初期で感じていたトルク不足を完全解消。ネガティブな部分を丁寧に潰した珠玉のフィールは、8000rpmまでよどみなく回る。2017年発売の改良モデルは、DCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)がフル電子制御化されている。煮詰められた4WDシステムと滑らかで、ストローク感あるフットワークはまさに成熟の極み。速度を出せば出すほど車体が安定するのは空力効果もあってスタビリティの高さは国産車随一といえるだろう。
ミッションは6速MTのみで、パッケージや駆動システムなどに古典的な要素も多いが、極めればここまで高みにまで引き上げられるという好例。自動車メーカーの卓越した技術力を堪能できるスポーツカーとして、後世まで語り続けたい1台だ。
BRZとは走りの味だけでなく、趣味性の部分でも大きく異なる。熟成ワインのような深みのある高性能を味わいたいのか、ダンスパートナーのように気持ちよさ楽しむのかによって選択肢は変わるだろう。