継続生産が望まれるスポーツカーはどうなるのか
以上のように衝突被害軽減ブレーキの義務化自体に欠点はないが、その影響で、車種の廃止が発生することは考えられる。前述の通り2025年12月以降は、継続生産される国産車も衝突被害軽減ブレーキを追加装着せねばならない。この時点で非装着車が残っていて、追加装着が不可能だとすれば、生産終了に追い込まれる。
例えばGT-Rが今の状態で、2025年12月まで生産されていれば、その時点で生産を終えるかもしれない。
さらにいえば、今の時点で、すでにさまざまな商品開発が制約を受けている。前述の通り2021年11月以降に発売される新型車は、衝突被害軽減ブレーキを装着せねばならないからだ。車高、フロントマスクの形状、フロントウインドウの角度など、いずれもセンサーの装着に対応した形状となる。そうなればデザインの自由度も狭まる。生産を終えたS660のようなボンネットや天井の低いスポーツカーは、これからはおそらく発売されないだろう。 このように環境性能や燃費規制だけでなく、安全面まで含めて、設計上のさまざまな要件がスポーツカーの生き残りを難しくしている。今後も存続させるには、敢えてスポーツカーを守り抜く強い意思と取り組む姿勢が求められる。