ホンダらしさへの原点回帰
ホンダは、ハッチバックスタイルの11代目シビックを2021年9月3日に日本国内で発売する。昨今、日本を含めグローバルで電動化シフトが進むなか、新型シビックの初期設定モデルは1.5L VTECターボのみとなり、CVTのほかに6速MTの設定がある。電動化については、フィットやヴェゼルで採用している2モーター式ハイブリッドのe:HEVを2022年に導入するほか、待望のタイプRも登場する。
気持ちいい走りを存分に味わってもらうため
それにしても、なぜホンダはシビックノーマルモデルに、先代モデルに続き6速MTを設定したのだろうか? 背景には、大きくふたつの理由があると考えされる。
第1の理由は、「VTECターボをしっかり味わってほしい」というホンダのエンジニアの純粋な思いだ。
その時点でもe:HEVの研究開発は行っていたが、それと同時に“これからのホンダはどうあるべきか”についての社内協議も進んでいた。こうした経緯で市場導入されたVTECターボでホンダらしい走りを実現するためには、6速MTは必須となった。
アメリカでのSUVシフトの影響
第2の理由は、2010年代に入ってから一気に加速した、アメリカ市場でのコンパクトSUV市場の拡大だ。
そもそも、アメリカでのSUVブームは1990年代にJeepチェロキーやシボレー・タホ/サバーバンに始まり、2000年代に入ってからはメルセデス・ベンツ、BMW、アウディなどドイツ系が導入。さらには、レクサス、インフィニティ、そしてアキュラなどの日系プレミアム系も、こぞってミッドサイズSUVやフルサイズSUVを導入した。
反動として、アメリカ市場の乗用車でもっとも販売数が多い、C/Dセグメントと呼ばれるカテゴリーの販売台数が減少に転じる。C/Dセグメントの代表格が、トヨタのカローラ/カムリとホンダのシビック/アコードであり、コンパクトSUVのRAV4とCR-Vが躍進した。
シビックについては、スタイリングはもちろんVTECターボ&6速MTというチョイスができるようにした。日本でのシビックは、月販目標台数が1000台。旧来の大衆車シビックのイメージではなく、6速MTでの走りが楽しいクルマとしてさらに磨きをかける。