大容量ラゲッジを誇るコンパクトモデルを紹介
国内のアウトドアシーンに相応しいクルマは、意外にも!? 走破性に優れるSUVなどより、アウトドアグッズをしっかりと余裕で積み込めるミニバン、またはミニバンの2列シートモデルが優れていることは、このAuto Messe Webで何度も説明してきた。
その好例が、スターキャンプなどを主催する三菱自動車のアウトランダーとデリカD:5の関係だ。基本部分が同じ2台ながら、キャンプの達人は迷うことなくアウトランダーではなく、デリカD:5を選んでいるケースが多い。理由はやはり、荷物の積載性の差なのである。 さて、ここではアウトドアにぴったりなミニバン、それもそのミニバンをベースに2列シート化した大容量ラゲッジを誇るコンパクトモデルを紹介したい。
ホンダ・フリードスパイク
まずは中古車でしか買えない、お手ごろ価格で買える生産終了モデルとして、ホンダ・フリードスパイクを紹介したい。スパイクはモビリオスパイクの後継車であり、コンパクトミニバンのフリードの2列シートモデルとして2010年にデビュー。 それも、フリードをただ2列シート化しただけでなく、リヤクォーターウインドウ内側にサイドポケットを設け(視界は遮られた)、ワイパブルな反転式フロアボードを採用するなど、ガレージのような仕立てにした大容量コンパクトワゴン。初代フリードにはFLEXという2列シートモデルも存在したが、ラゲッジスペースの使い勝手をよりアウトドア志向にしたのがスパイクだった。 フリードスパイクのラゲッジスペースは、開口部フロア地上高540mm(スロープモード最低値が低い!)、フロア奥行き860mm、フロア幅1000mm、天井高1140mm。後席を低く格納すれば最大荷室長は1140mmに達する。ただ広いだけでなく、小物の収納、収納にかかわるアクセサリーの豊富さも大きな魅力だったのだ。 フリードスパイクの後継者となった、2段式フロアボードを持つフリード+(プラス)のラゲッジルームはどうかと言えば、開口部フロア地上高335mm(フロアボード上段は720mm)、フロア奥行き1035mm、フロア幅1270mm(フロア下段は670mm)、天井高1360mm(フロアボード上段は975mm)。
フロアボードを上段にセットし、後席をフラットに格納すれば、その下が大容量の物入れになるベッドスぺースにアレンジできるのだから最高だ。アウトドア派、車中泊派にもピッタリの1台と断言できる。 余談だが、フリード+のテールゲートは「ロングテールゲート」と呼ばれるだけあって、フリードのリヤバンパー部分まで開口(だからフロア地上高が335mmと低い)するため、テールゲートを開けるには車体後方にそれなりのスペースを必要とする。その代わりに、開けばアウトドアで活躍する、雨の日にも有効な大きなひさしになる便利さがある。 後席を低く格納したリラックスベッドモード時ではなんと1980mmに達し、高身長の人でも車中泊が可能なベッドスペースが出現。荷物の積みやすさに優れるのはもちろんだ。
ホンダ・モビリオ
では、フリードの前身となる、2001年に登場したホンダ・モビリオはどうだったのか? 初代フィットをベースにコンパクトミニバン化したモビリオは3列シートの7人乗りモデルだが、あくまで緊急席的な3列目席は畳んで使うのがフツーだった。 何しろ3列目席使用時のラゲッジルームの奥行は305mmでしかなく、アウトドアの荷物の積み込みなど無理もいいところ。ヨーロッパの路面電車のデザインがモチーフのガラスエリアの大きいエクステリアを持つモビリオだから、かなり都会的なルックスだったものの、コンパクトミニバンゆえの大容量空間からアウトドアに使っていた人も少なくなく、その場合は間違いなく2列シートにアレンジしていた。 すると、ラゲッジルームの奥行はいきなり1050mmまで拡大。フロア幅1010mm、天井高1190mmとともに、かなりの大容量スペースが得られることになる。開口部フロア高も305mmと素晴らしく低く、重い荷物の出し入れも楽々だったのである。程度のいい中古車を見つけられれば、今でも洗練されたエクステリアデザインは古臭さなし!? かえってフリードより目立つかも知れない……。