マツダ・ロードスター(ND)
ライトウエイトオープン2シーターとして、圧倒的な知名度を誇るロードスター。スポーツカーとしてのキャラクターを持っているのはもちろんだが、快適なオープンエアモータリングを楽しめるクルマとしての側面も持ち合わせている。
そのため、現行型ロードスターに備わる純正シートは初代ロードスターを思わせるシンプルなフォルムを採用。ゴリゴリのスポーツモデルのように大きく張り出したサイドサポート形状ともなっていない。
しかし、一旦座ってみるとシート全体が乗員を包むような安心感があり、着座位置も適度に低いスポーティなもので、太ももまわりのサポートも適切でペダル操作を邪魔しない絶妙なものとなっているのだ。
さらに素晴らしいのが大柄な人から小柄な人まで、違和感なく座って運転ができるという点。さすがに本格的なスポーツ走行では物足りなさを感じるが、街乗りからワインディング程度であればまったく不満がないシートに仕上がっていた。
トヨタ・プリウス(50系)
ハイブリッド車の代名詞となったプリウス。今でこそハイブリッド車も市民権を得て多くの車種の1グレードになるまでに至っているが、プリウスが登場したころは特殊な車両というイメージが強く、3代目が大ヒットするまでは苦労も多かった。
とくにモーターやバッテリーを搭載することでコストが上がってしまうという点と、普及させるためにあまり高額にはできないという相反する点には相当苦労したようで、2代目モデルの純正シートはコストダウンを感じずにはいられない残念なものだった。
しかし、4代目となる現行モデルではその残念な純正シートというイメージを一新。シートの剛性を上げるだけでなく、クッションの素材や厚みを部位によって変えるといった手法で、座骨に集中しがちな圧力を周囲に分散してくれるのだ。
正直4代目プリウスに初めて乗ったとき、一番感動したのがこの純正シートと言っても過言ではないほど。低燃費でロングドライブも可能なプリウスだからこそ、長時間ドライブでも疲労が少ない純正シートの採用はクルマ全体の評価を上げるものだったのである。