形状や材質にこだわったシートが増えてきた!
クルマを選ぶ基準というのは数多くあるが、なかでもクルマ全体の評価を左右するほど重要な部分がシートではないだろうか? クルマに乗っている限り、つねに身体に触れる部分でもあり、ステアリングやペダルの操作にも影響する重要な部分である。
とはいえ、純正で装着されるシートは大柄な人から小柄な人、若い人から年輩の人といった幅広い層のユーザーが想定されるため、非常に最適解が難しいもの。グローバルで展開する車種であれば、国によっても異なる体格も考慮しなければのだ。
そんな純正シート、過去の日本車はコスト的にあまり純正シートに力を入れてこなかった感もあったが、近年ではいつまでも座っていたいと思えるシートを備えるモデルも増えてきた。そこで今回は筆者が実際に座って感じたデキがいい純正シートをピックアップしたい。
ホンダ・シビックタイプR(FK8)
タイプRのシートというとレカロ社製のシートというイメージが強いかもしれないが、レカロブランドのものが装着されていたのは2代目モデルまで。それ以降はオリジナルのシートに置き換えられている。
そんなタイプRはサーキットが本籍と言えるほど、ノーマル状態でも過激な味付けとなっている。もちろん、純正シートもそれに耐えうるホールド性を備えたものだ。
とくにFK8型に採用されたシートは「Honda Rスペックシート」と名付けられており、乗員を点ではなく面で支える構造を採用。それだけでなく、4点ハーネスにも対応したベルトホールを備えている。さらに先代よりも10%ほど軽量化も実現しているなど、タイプRの冠にふさわしいものになっているのである。
マツダ・ロードスター(ND)
ライトウエイトオープン2シーターとして、圧倒的な知名度を誇るロードスター。スポーツカーとしてのキャラクターを持っているのはもちろんだが、快適なオープンエアモータリングを楽しめるクルマとしての側面も持ち合わせている。
しかし、一旦座ってみるとシート全体が乗員を包むような安心感があり、着座位置も適度に低いスポーティなもので、太ももまわりのサポートも適切でペダル操作を邪魔しない絶妙なものとなっているのだ。
トヨタ・プリウス(50系)
ハイブリッド車の代名詞となったプリウス。今でこそハイブリッド車も市民権を得て多くの車種の1グレードになるまでに至っているが、プリウスが登場したころは特殊な車両というイメージが強く、3代目が大ヒットするまでは苦労も多かった。
しかし、4代目となる現行モデルではその残念な純正シートというイメージを一新。シートの剛性を上げるだけでなく、クッションの素材や厚みを部位によって変えるといった手法で、座骨に集中しがちな圧力を周囲に分散してくれるのだ。