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「GRスープラ」は直4モデルが「買い」! 昭和オヤジの「心に刺さる」理由とは

GRスープラSZ(ホワイト)フロントスタイル

トヨタの最先端スポーツカーに漂う昭和の香り

 GRスープラは、トヨタから2019年に発売された先進のスポーツカーですが、その一方で昭和の香りを色濃く残すオヤジホイホイでもあります。

 まずオヤジには外観が刺さります。全長は4380mmですが、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2470mmと短く、N-BOXやN-ONEの2520mmを下まわります。後輪駆動車なのにショートホイールベースでロングオーバーハングは、まさに昭和の象徴です。

 1989年に発売されたZ32型4代目フェアレディZの2シーターは、全長4310mm、ホイールベースは2450mmですから、GRスープラの数値とほぼ同じです。ちなみにZ34型フェアレディZの全長は4260mm。GRスープラよりも120mm短くなってますがホイールベースは80mm長い2550mmです。

 つまり今のクルマは走行安定性を向上させ、外観に塊感を与えるため、全長のわりにホイールベースを長く設定しています。そこをGRスープラは、回頭性を機敏にする目的でホイールベースを短く抑えたため、エクステリアにも昭和の香りが漂うのです。ここがオヤジには、ちょっと心を打たれるところです。

低偏平が当たり前の時代に50偏平を履く「SZ」に惹かれる!

 そしてカタログを眺めていて(※ウェブサイトではありません)、さらにググッと来たのが、価格がもっとも安い「SZ」の外観です。タイヤサイズは17インチなので、19インチの「RZ」や18インチの「SZ-R」に比べると、タイヤのエアボリュームが感じられます(フロント225/50R17、リヤ255/45R17を装着)。 オヤジから見れば、「RZ」の19インチなんて「コレ本当にタイヤか? ゴムベルトじゃないのか?」みたいな感じですが、「SZ」ならちゃんと空気が入っているタイヤの感じが良くわかります。

ハンドルに伝わる操作感が古き良き時代の記憶を蘇らせる

 そして「SZ」の運転を始めると、これはもう感涙です。ステアリングホイールを操作したときの反応が、上級グレードに比べて少し鈍く、ちょっと懐かしい手応えを残しながら車両が向きを変えていきます。コーナーの後半でアクセルペダルを徐々に踏み込むと、後輪が粘りながらもヌメーッとした感じで緩く横滑りを始めます。 この姿勢が徐々に乱れていく感覚こそ「昭和のエクスタシー」(もちろんスポーツカーの話です)というか、オヤジとしては若い頃を想い出して目頭が熱くなります。いうなれば回春ドライビングですね。

初代ロードスターを思わせる走る楽しさに感涙

 ロードスターも価格がもっとも安い「S」で似たような特徴があります。6速MT仕様でもリヤスタビライザーなどは装着されず、旋回速度を高めていくと、徐々に後輪のグリップが下がり始める。これも粘りながらヌメーッとした手応えがあり、1989年に登場した初代ロードスターの運転感覚にとても良く似ています。 最初に運転した報道試乗会では、「S」は主力グレードではないために最後に試乗しました。夕暮の街を走りながら、本当に泣きそうになりました。あの時代のことをやたらと想い出したのです。普段忘れていたことまで……。このまま走り続けたら、20代の頃に戻れるのではないか。そんなアホなことまで考えました。 スポーツカーでは、一番安いグレードにこそ魂が宿るのかも知れません。先日、還暦を迎えたオヤジ(筆者)は、そんなことを考えています。同年配のみなさんも、機会があったら、スポーツカーの一番安いグレードを運転してみてください。きっと楽しい時間を過ごせると思います。

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