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もはや動く「カプセルホテル」! スズキの「マー坊」を自力でキャンパー仕様に改造してみた

そうだ、愛車のマイティボーイをキャンピングカーに改造しよう!

 軽キャンパーはいいなーと思う。限られたスペースを最大限に利用する工夫の数々がたまりません。1BOXの車内を改造するのも面白いと思いますが、私としては軽トラの荷台にキャンプキャビンを作り付けるスタイルに憧れます。キャビンを降ろしてしまえば普通の軽トラで、いざキャンプに出かけるときには即座にキャンピングカーに変身という、一台二役の使い分けができるのが素敵です。

 中古車屋さんで激安軽トラなどを見かけると衝動買いしたくなったりしますが、なかなか踏み出せないのも事実で困りものです。何故かといえば、軽トラをすでに1台所有しているからです。軽トラとはいえ、荷物をあまり積載できないピックアップトラックの「スズキ・マイティボーイ(愛称・マー坊)」です。手に入れてから早くも25年ほどとなり、最近では出番も少なくなりましたが、私の大切な原寸大のオモチャとして車庫の一角を占有しています。レストアをしながらマー坊の狭い荷台を見ていて「ここをキャンプキャビンに仕上げたら楽しいだろうな」などという危険な発想が頭をよぎりました。 ああヤバいぞ! と思いましたが、いっきにアイディアが湧き出してきてもう止まらない、早くも「自作モード」全開です。失敗してもいいし、お笑いネタでもいいので計画をスタートさせることにしました!

まずは机上で作戦を練ってみる

 少し大掛かりな作品になるので、模型を作って机上にて作戦を練ることにします。こちらがマー坊の荷台と身長175cmの人物(自分より少し大きめ)の10分の1サイズの模型です。実車に装備してある自作のトノカバーは、上に開いた状態でキャビンのルーフの一部として利用します。このペーパークラフトでの検討段階だけでも十分に楽しめます。

 マー坊の荷台は長さ66cm×幅120cmとミニマムサイズ。アオリを開いて床の一部にすると長さが約40cmほどプラスされるので、あとは長さ約90cm×幅100cmのパネルを追加することで何とか就寝できる床面積を作り出せそうです。各パネルはベニヤ板をムダなく利用できるサイズとします。あれこれ考えた結果、箱形のキャビンに決定しました。製作するにあたり「マー坊にはビス穴を開けたり、構造を変えないようにする」「分解したキャビンは、マー坊の荷台に収納できること」という鉄則を設けました。

構想が固まったらいよいよ実車で製作開始

 それではいよいよ製作に移りましょう。ベースとなる床のフレームは、鉄の角パイプでもちろん組み立て式です。アオリとの連結部分は、油圧プレスでコの字形に折り曲げた厚い鉄板をリベットで留めます。ネジ込み式の脚を付けたら床フレームの完成です。床板を波鉄板で作ってみましたが、重いしかさ張るので厚ベニヤ板で作り直しました。エアーベッドを置いてみました。ソロキャンプにはちょうどいいサイズです。床を分解して荷台に収納してみたところです。残りのスペースに収まるように計算しながら上モノを仕上げなければなりません。キャビンが立ち上がったところを把握するために板で仮組みしてみました。床からルーフまでは1mの高さですが意外と広い空間が出現しました。パネルの枠を組んだらベニヤ板を貼り付けます。乾燥の速さと接着力の強さで「タイトボンド」を多用しています。雑然とした背景は自作ガレージの内部です、ご容赦を。パネル同士の接合は、金具の切れ目に木ネジの頭をスライドさせながらハメ込む仕組みです。パネルができるごとに現物合わせで進めて行きます。丸窓付きのドアの開閉には「隠し蝶番」を使います。蝶番を埋める穴を、支柱側に開けた穴と正確に合わせてトリマーで彫り、スムースに開閉するよう調整しておきます。隠し蝶番の動き方です。普通の蝶番のようにパネルから飛び出る部分がないので、積み込みの際にほかのパネルを傷付けないし、少しオシャレ度もアップします。バイクのタンクキャップをイメージしたドアノブやドアキャッチも作りました。壁パネルの上の辺と天井の桟を結合するための凸部と凹部をそれぞれに、トリマースタンドで削って加工します。キツくもなくユルくもない、ちょうどいい具合に組み立てられるように加減します。桟が載ったことで、キャビンの強度がアップしました。この時点でペーパークラフトの完成予想モデルで外観上一番の見せどころだったルーフ後端のR処理を断念しています。素材選び、雨仕舞、分解収納などでハードルが高すぎたので宿題としておきます。

キャビンを構成するパネルがすべて完成

 パネル同士の突き合わせに木工ビスケット用のビットを利用する方法です。突き合わせる面の同じ位置にビスケット用ビットで切り込みを入れます。ビット型のベニヤ板の半分を台形にカットしておいて、片側の半分だけ接着します。これで上下のパネルがズレずにしっかりと噛み合います。ルーフは3枚のパネルを並べ、さきほど載せた桟の上にフタをするような形でかぶせます。パネルの合わせ目にはアルミのC型チャンネル材を上下に組み合うような形に設置して、雨樋の役割を持たせておきます。ルーフを先に決めておきたいので、ルーフのベニヤ板を屋根用塗料で厚塗りします。パネルの縁には白い樹脂のL字アングル材を目地シールで接着します。豪雨を想定したシャワー攻撃で雨漏りのチェックをしました。結果は上々、塗料は水を弾き、パネルの合わせ目に流れ込んだ水はきれいに排水されています。持ち上げたトノカバーとキャビンを接合するパネルは少し複雑な形で面倒ですが、すき間なく建て付けできました。ルーフの先端を塞いだらキャビンを構成するすべてのパネルが完成です。この先端部の下側のすき間は塞がずに換気口としました。メッシュ生地を網戸代わりとして、布カーテンで換気調整をします。

キャビンの外装の塗装と細かい作業

 当初の計画どおりにこれらすべてがマー坊の狭い荷台に収まるのか試してみましょう。積み込みの順番を何回もやり直し、ギリギリセーフでなんとかトノカバーを閉めることができました。冷や汗ものです。トノカバーの裏が銀シート貼りのままだと、キャビンの室内には似つかわしくないのでベニヤ板に張り替えて白く塗装しておきます。トノカバーの剛性もアップしました。各パネルの室内側には薄いベニヤを張ってからクロス仕上げにしようなどと思っていましたが、その厚さが増すだけでも荷台に収まらなくなること必至なので省略して、白い塗装だけにしておきます。ここも宿題ですね。少し派手めの青いパンチカーペットを敷き詰めたら、約100cm×200cmの床が完成です。壁パネルが出揃ったので、晴れ間を見計らってキャビン外装の塗装です。面やチリが正確に合っていない部分も多くあるので、白のベタ塗りなどは避けることにしました。塗っていて楽しそうということもありますが、迷彩色に決定です。チョークで線を引き、薄い色から濃い色へと塗り進めます。ローラーの塗りムラのある輪郭がいい味を出してくれます。外での塗装作業のお約束というか、あと少しで乾燥するというところで急に雨がポツポツと降り出しました。塗装していると、いいところで枯れ葉が落ちたり、羽虫がくっついたり、アリが歩いたりするのでポケットにはピンセットを忍ばせていますが、雨には降参です。

丸窓の製作&車体との隙間を埋める

 迷彩カラーのキャビンを組み立ててみました。やはりルーフ後端のR部分がないのが悔やまれますが、改装工事はいつでもできます。パネルとテールランプとの接続面がとても複雑です。コンパスにサインペンを取り付けてレンズをトレースします。型紙どおりにスポンジを切り抜けば複雑なレンズ面をすき間なくカバーすることができます。どんなに小さなすき間からでも蚊は侵入してきますから要注意です。塗装がすんだので保留となっていたドアを仕上げます。

 丸窓は透明のポリカ板にスモークフィルムを貼り、透明部分とスモーク部分を振り子式に切り替えて昼と夜に対応させています。ドアノブやドアキャッチを取り付けたら、調整済みの隠し蝶番でドア枠にセットします。

ついに完成! カプセルホテル並みの居住空間に満足

 荒削りながらもキャビンが完成しました。厚手のエアーベッドを膨らませて、40cm×60cmのミニテーブルを設置。ランタンを天井に吊るせば、カプセルホテル並の居住空間でくつろぐことができます。撤収と設営の練習をしてみました。キャビンを分解するだけなら5、6分でできます。組み立てには15分~20分くらいでしょうか。

 問題は荷台への積み込みです。順番を間違えないようにしないとミリ単位でアウトになります。慣れれば大丈夫でしょう。最後に作った小さなテーブルはどうやっても荷台に収まらず、エアーベッドといっしょに運転席後部に収納することになりました。これでファッション重視のピックアップトラック「マー坊」も、立派に軽トラキャンパーの仲間入りができました。

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