キャンプブームに対応する日本ならではのカスタム事情
空前のアウトドア・ブームが続くなか、キャンピングカーに大きな注目が集まっている。なかでも、今もっとも人気が高いのが、外観をあまり変えずにラゲッジスペースを車中泊やキャンプに対応させた仕様だ。
トヨタ・ハイエースや日産・キャラバンといった商用ワンボックスから、トヨタのノア&ヴォクシー、日産セレナといったミニバン、N-BOXなどの軽ワゴンに至るまで、幅広い車種で、見た目普通のキャンパーが存在する。ここでは、そんな今最旬のキャンピングカーの状況について紹介しよう。
アウトドアにも繰り出せる「一見、普通のクルマ」が台頭する理由とは
見た目をあまり変えず、ラゲッジをキャンプ仕様にカスタムするキャンピングカーは、とくに都市部のユーザーに人気だ。理由は、駐車場問題。
また、近年急増するキャンピングカー初心者にとっては、外装サイズを拡充した本格的なモデルでは、「ぶつけてしまうのでは」と運転に不安を覚えるユーザーも多い。
ミニバンの「2段ラゲッジ化」「ポップアップルーフ化」が浸透
ただし、外装をあまり変えない分、装備については本格的モデルほどの充実度はない。一般的には、ワンボックスカーなどの荷台やミニバンのラゲッジスペースなどへ、基本的にはベッドマットを装着しただけのモデルが多い。「とりあえず、車中泊さえできればいい」と割り切った仕様だ。
また、なかにはベッドマットを2段式にして、上段に小さい子どもが1~2名就寝できるファミリー向けモデルなどもある。加えて、最近は内装の天井に釣りのロッドを固定できるホルダーを装備した釣り仕様なども人気だ。
ルーフ部を上に跳ね上げるとテントとなるといった仕組みで、ワンボックスがベースならテント部に大人2名の就寝が可能なタイプも多い。また走行中はテント部を格納するため、全高はノーマルより多少高くなるが、2mを超えないものがほとんど。商用車ベースなら1ナンバーや4ナンバー、ミニバンなどなら3ナンバーや5ナンバーサイズに収まるから、駐車場の問題なども難なくクリア。運転中にルーフ部に注意を払う必要もほぼない。
8ナンバー登録車も「ポップアップルーフ」が人気
また、ハイエースなどのワンボックスがベースのモデルでは、車検が2年毎になるなど維持費の面で有利な8ナンバー登録のキャンピングカーもある。8ナンバーのキャンピングカー登録車に必要な構造要件には、「キッチンの設置と、使用する際にキッチン前の天井高が床から1600mm以上必要」という項目がある。そのため、一般的な8ナンバーのキャンピングカーは外装の架装により全高を上げる。
だが、ポップアップルーフ仕様であれば、ルーフを上げたときにもっとも高くなる場所の真下にキッチンを設置することで、要件をクリアできる。つまり、停止時にキッチンを使ったり、就寝するためにルーフを跳ね上げたとき以外は、前述の通り、ほぼノーマルの車高で使えるため、普段の使い勝手もいいのだ。