酷使されているパーツはメンテナンス必須
日本の夏は暑い! この酷暑のなかでクルマの冷却系パーツは酷使されるわけだが、重要なクーリングパーツにも関わらず、メンテナンスを忘れがちな部品がある。
それはラジエーターキャップ。いま愛車についているラジエーターキャップ、使用年数をきちんと覚えているだろうか?
たかがキャップと侮るなかれ! クルマを守る重要な役割
ラジエーターキャップは単なるラジエーターの蓋ではなく、密閉弁、加圧弁、負圧弁という三つの弁がついていて、冷却経路の圧力を一定に保つ大事な役割を果たしているのだ。
加圧弁は、圧力鍋でおなじみの沸点を高くするための弁だ。通常水は100℃で沸騰するが、圧力を加えると沸点を高くできる。ラジエーターキャップの加圧弁も圧力をかけて沸点を高める効果があり、ラジエーターキャップの上面には、「88kPa」(0.9kg/cm2)などその数値が書かれている。これは大気圧に加算される圧力で、88kPaのキャップだと沸点は118℃になる。
負圧弁は冷却水の温度が下がって、冷却経路の圧力が低くなったときに開き圧力を調整する。負圧弁が開くと、高温時にリザーバータンクに逃がされた冷却水がラジエターに戻るわけだが、負圧弁が劣化してくると冷却水が戻らず、ラジエーター内にエアが入り冷却効果がダウンする。
というわけで、ラジエーターキャップは冷却水漏れやオーバーヒートに直結するけっこう重要なパーツであり、定期的な交換が欠かせない消耗品だと思ってほしい。
交換タイミングは時期、症状できっちりと判断すること
具体的な交換時期は、社外品のラジエーターキャップのパッケージをみると、「1年に一度の交換が理想的」と書かれているが、実際はクーラントの交換(2年に1度)に合せてラジエーターキャップも新品に交換すれば十分。
・高温時と低温時でリザーバータンク内の水位差があまりにも大きいとき(水位が変化すること自体は正常)
・ゴムパッキンに傷やクラックがある
・錆などの付着物がある
ラジエーターキャップ自体はひとつ1000円前後と安価で、しかも工具なしで自分で簡単に交換できる。ただし、ラジエーターキャップを開くとき・交換するときは必ずエンジンが冷えているときに行うこと。高温時にキャップを開くと熱湯や蒸気が噴出し大変危険なので、エンジン停止後1~2時間経って、確実に水温が下がっていることを確認してから作業しよう。
効果的なハイプレッシャータイプは愛車の状況に合わせて選択
また、社外品のラジエーターには加圧弁の圧力を高めたハイプレッシャータイプもある。例えば純正の88kPaに対し、127kPaにすると沸点が6℃上がって124℃になり、冷却効率が上がるというシロモノ。
ハイプレッシャーキャップにすると、たしかに沸点も上がるが、ラジエーターホースやホースの継ぎ目、シールやパッキン類にはその分だけ高い圧がかかるので、負担がかかってクーラント漏れの原因になることも……。
冷却系が新車に近い状態でなければ、純正圧力のラジエーターキャップを定期的に交換するのがベストだろう。