モーター走行中であることを知らせるために登場
モーター走行するクルマに対し、低速走行時にクルマが接近することを知らせる何らかの音を出すことが推奨され、自動車メーカー各社は独自に擬音を創作し車外へ流してきた。
エンジン車のような排気音がない電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)、あるいは低速域ではモーター走行となり同様に排気音のしないハイブリッド車(HV)は、接近の様子を耳で確認できない。そのため、とくに目の不自由な人から懸念の声が上がり、擬音の採用となった経緯がある。
聴力が衰えた高齢者のために擬音の音量を上げられない事情
それらは、30km/h以下くらいの速度まで音が外へ流されるが、その音量や音色については、エンジン車が同様に低速で走行した状況と比べ、同等以上であることが確認されている。エンジン車自体、今日では低速においてほとんど排気音が耳に届かないモデルもあり、EVやHVなどの擬音のほうがよく聞こえる状況にもなっている。
一方、耳が不自由な人や聴力が衰えはじめた高齢者にも、その音が聞こえるかどうかということになると、状況次第では聞き取れないことがあるだろう。しかし、では音量を大きくすればいいかというと、すでにエンジン車と比べ認識しやすい音質や音量になっているのだから、さらに騒音を拡大することにつながってしまう懸念がある。
また、せっかく排気音のしないEVなどが普及することにより、幹線道路や住宅地などでの騒音公害を解消できるにも関わらず、擬音を大きくすることは住民に対する公害の拡大につながり、住環境を悪化させる。ことに幹線道路においては、排気音と比べてもタイヤ騒音がうるさいほどだ。
つまり、大気汚染や気候変動といった環境問題だけでなく、住環境そのものに対する騒音規制は世界的にも強まる傾向にあるのである。
ではどうすればいいのか。