「ワイスピ」が日本のスポーツモデルの魅力を世界中に知らしめた!
「ワイルド・スピード」をただのカーアクション映画と思っている人がいたなら、それは間違いでしかありません。ストリートバトルという若者文化を切り取ったドキュメンタルなタッチが発祥ではありましたが、立場の違う者同士がペアを組む「バディもの」の要素だったり、家族や仲間との絆、007のような特撮車両的な魅力などなど、映画としてウケる仕掛けがこれでもかと詰め込まれているのです。だからこそシリーズ全10作も続いているのです。 闘う相手も、街のトラック窃盗団に始まり裏社会のボス、はては国際犯罪組織と、とめどなく巨大化しています。その様は少年ジャンプ作品のようです。もちろんハリウッド作品ですから、自国の車両が中心に据えられています。しかし、そのほかの国の車両がアメリカ車を引き立てるための「かませ犬」の扱いではないのです。それぞれに愛を持って描かれています。
クルマの世界でもしっかりと「多様性」を重んじられているのは、さすがハリウッドです。
大人気シリーズも終焉を迎えるのか!? 魅力的な劇中車を振り返る
真偽は定かではありませんが、現在公開中の「ジェットブレイク」後は、あと2作をもってワイルド・スピードが完結する、という噂もあったりなかったりします。ファンとしては、同じ「サーガ」を名乗るスター・ウォーズの連作のように、本編こそ完結してもスピンオフ作品で楽しませてくれることを望みます。そんな想いをこめて、魅力あふれる劇中登場車両を見ていきましょう。
【MAZDA RX-7(FD3S)/ オーナー:ハン】
2006年公開の3作目「X3 TOKYO DRIFT」を象徴する登場車両といえば、間違いなくこのクルマになるでしょう。マツダRX-7(FD3S)です。といってもベース車両の面影は、ガラスエリアとテールランプくらいしか残っていません。これはヴェイルサイドが作り上げたカスタムコンプリート「RX-7フォーチュン」なのです。 初出は2005年であり、ずいぶん時間は経ってはいるもののいまだ新鮮さを保つデザイン技は見事です。エアロだけで200万円近くする高額なキットではありますが、現在でも世界から注文が絶えないそうです。 なにを隠そう、RX-7フォーチュンが初登場した「TOKYO DRIFT」の監督はジャスティン・リン。しばらくワイスピの監督業から離れていましたが、最新作「ジェットブレイク」では満を持して復帰したのです。このフォーチュンカラーを継承したスープラのカムバックと合わせたハンの復帰も、リン監督が練っていた話題作りのための何重もの秘策だったのです。ちなみに、素のFD3Sも第1作にさらりと登場しています。
【NISSAN 240SX (S14)/ オーナー:レティ】
ワイスピファミリーの核となる人物がドミニクです。最初はトラック窃盗団の親玉でしたが、いまでは仲間を率いて地球の未来を護る存在です。その大事なパートナーが、レティです。そのレティが乗るのが日本でいうS14シルビア後期、現地名240SXです。女性らしくピンクのカラーに塗られていましたが、ブリッツのブーコン&ニュルスペックRマフラー、GAB車高調など、なじみのあるジャパンブランドのパーツで走りをしっかり強化していました。 次の世代としてはS15シルビアが3作目「TOKYO DRIFT」に登場していますが、S15には北米仕様はありません。劇中にS15を例えるのに「ドリフト界のモナリザ」というセリフでその戦闘力を賞賛していましたが、あれから15年経とうともいまだドリフト界の最前線で活躍中というのだから事実は小説よりも奇なり、です。