ワゴンRサイズを継承し個性と使い勝手に磨きをかける
ハッチタイプが主流だった軽自動車業界に、全高を高く取って居住空間を拡大した「トールワゴン」という新たなジャンルを送り込み、軽の歴史を変えたと言っても過言ではないスズキ・ワゴンR。ちょうど良いボディサイズによる扱いやすさが幅広い世代から支持され、スペーシアなどスーパーハイトワゴンが軽の主軸となった今でも根強い人気を誇り、現在のモデルで6代目となる。
現行型ワゴンRのラインアップは親しみのある角型のヘッドライトが特徴のFA&ハイブリッドFX、ヘッドライトを2分割構造とした精悍なハイブリッドFZ、そしてスタイリッシュなエアログレードのスティングレー(ハイブリッドT&ハイブリッドX)で構成。大まかに分けると顔つきが異なる3タイプのモデルを展開し、ここ数年で大きく変わりつつあるユーザーの好みの多様化に対応してきた。
そして8月27日、ワゴンRの血統を受け継ぐ新たな軽自動車、ワゴンRスマイルが発表された(発売は9月10日)。ボディ形状を日常生活での扱いやすさに優れたワゴンRサイズとし、愛嬌あふれる丸型のヘッドライトやシンプルでありながら愛着を感じさせる、面構成のエクステリアで個性を演出。さらにワゴンRシリーズでは初採用となるスライドドア、充実の安全装備「スズキセーフティサポート」の導入により、使い勝手を大幅に向上させたのが特徴だ。ライフスタイルをより豊かにしてくれる1台、スマイルの魅力を詳しく紹介していこう。
メッキの加飾や豊富なカラバリで上質さと個性を表現
ワゴンRの名を冠したスマイルだが、エクステリアはデザインや機能性で本家と差別化を図っている。こだわったのは「愛着とぬくもり」。全体的に角を取って丸みを持たせ、なおかつ丸型のヘッドライトを採用することで親しみのある優しい雰囲気を演出している。
しかしどこまでもツルンとさせてしまうとのっぺり感が出るため、ドア下とフェンダーアーチ上部に必要最小限のレリーフを設けてメリハリを付けているのがポイントだ。また、シンプルなスタイリングのなかに光る上質さも見逃せない。フロントグリルやドアのアウターハンドル、リヤウインドウ下部のガーニッシュは高級感あふれるクロームメッキ仕上げだ。
灯火類に関しても上級グレードのヘッドライトは面で光るアクリル素材を導入して豊かな表情へと導き、テールランプも既存のスズキ車にはない奥行きや立体感を追求したデザインを採用。このような上級感の表現で、所有する満足度をさらに高めてくれる。
カラーリングに関しては2トーンルーフを含めて12通りのバリエーションを用意しており、選び甲斐があって個性を表現しやすい。オススメはシックなイメージを持ちながら煌びやかさもあるインディゴブルーメタリック、華やかで大人っぽいコーラルオレンジメタリックの2色。どちらも新色である。
ちょうど良いボディサイズに便利なスライドドアを標準装備
機能面においては、両側スライドドアの採用が大きなトピック。ファミリー層に人気が高い自社のスーパーハイトワゴン、スペーシアにもスライドドアを採用している。だがスズキ車ユーザーに聞くと、ワゴンRサイズでのスライドドア導入を求める声も多かったという。
ワゴンRスマイルの想定ターゲット層は、通勤や通学でクルマが必要な若い世代や、子育てを終えた世代。とくに後者は両親を乗せる機会が多いことを考えると、スライドドアは非常に便利な機能である。ステップの地上高は345mmと低く、乗降グリップも装備しているため高齢者も乗り降りがスムースだ。
グレードに関してはベーシックなG、両側パワースライドドアなど装備を強化したハイブリッドS、メッキ加飾の追加や装備をさらに充実させたハイブリッドXの3タイプで構成。上位2グレードは低燃費に貢献する、マイルドハイブリッド機構を搭載している。エンジンは2代目ハスラーから導入し、搭載車種を拡大しているR06D型を採用。効率を高めたCVTとの組み合わせにより、スムースな走りと優れた低燃費を実現した。
もちろん安全装備も力を入れている。スズキの予防安全技術「スズキセーフティサポート」を全グレード標準装備とし、ベースグレードのGを選んでも衝突被害経験ブレーキや誤発進抑制機能など、充実の機能が手に入る。ハイブリッドX&Sは全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロール、視線移動を最小限に抑えるヘッドアップディスプレイなどを設定したセーフティプラスパッケージをオプションで選択できる。またあらゆる死角をカバーし、狭い道で役立つすれ違い支援機能を備えた全方位モニター用カメラパッケージも用意している。