フェアレディZに秘めたオフロード走行の本能
言うは易く、行うは難し。サスがストロークしてもタイヤが干渉しないよう仕上げるのは至難の業だったという。
しかし、その甲斐あってギャップのあるダートやサンドでも飛ぶように走り抜けられるオフロードにも強いピュアスポーツが誕生した。
「2WDのFRでオフロード?」といぶかしがる読者もいると思うが、塙氏の答えは明快だ。
「僕のバハ参戦用マシンはいまやすべてFR。四駆は重くて複雑で壊れやすいから、レース界ではそのメリットが相殺されることもある。でもね、大径タイヤとそれを活かせる脚さえあれば、バハのような厳しい地形でも走れてしまうんだ。それに、Zはフロントミッドシップで後ろのタイヤにトラクションが良くかかるため、素材としても最高なんだよ」 実際、最低地上高も前後のストロークも本格四駆真っ青なハイスペック。事実、ローギヤード化したファイナルギヤの効果と相まって、深い砂地やモーグル地形をモノともせず、パワフルでアグレッシブな走りを見せてくれた。 最後に塙サンはこう話してくれた。
「クルマ離れとか言われるけど、まずは僕たちオトナたちが楽しんでみせないとね」
PROFILE
塙 郁夫氏
1960年生まれ、茨城県在住。レーシングドライバーにしてマシンビルダー。バハ1000(BAJA1000)参戦20回、グアムのオフロードレースで11度の優勝など、アメリカンデザートレースを中心とするスプリント系に滅法強い。