採算度外視のホットなチューニングマシン
待望の新型86(GR86)が発表され、秋からのリリースを心待ちにしている人も多いことだろう。その一方で再び初代モデルにも注目が集まっているということもあるようだ。そこで今回は、初代86のなかでも最強の呼び声も高い、2016年に発売された「86GRMN」を振り返ってみたい。
ノーマルとは明らかに違うレスポンスのエンジン
GRMNとはGRが冠されるモデルのなかでも最高位に位置するもので、サーキット走行も視野にいれたチューニングが施されているのが特徴。ほかのGRモデルはエンジン本体がノーマルなのに対し、GRMNはエンジンにまで手が加えられているのが特徴である。
スペックこそ+19psの219psと控えめだが、一旦組みあがったノーマルエンジンをトヨタテクノクラフトでリビルドするほどの手の込みようで、そのフィーリングはノーマルエンジンとは明らかに別モノとなっていた。
そしてそのエンジンのおいしい部分を堪能できるように、ミッションのギヤ比をクロスレシオとし、ファイナルも4.3へ変更。LSDは高トルクバイアスレシオのものに置き換え、ドライブシャフトも軽量かつ高剛性なものに変更されているのだ。
専用スペックのタイヤを装着
足まわりもフロントには専用の倒立式を採用した車高・減衰力調整式のものを採用し、リヤコントロールアームブッシュにはピロボール式をチョイス。ボディ補強もベース比1.8倍のねじり剛性アップを実現しながら、しなやかな走りも実現するため、リヤには減衰機構付パフォーマンスロッドもおごられていた。
パワーと足まわりがレベルアップされていれば、当然ながらストッピングパワーのレベルアップも抜かりなし。フロントには対向6ポッド、リヤには対向4ポッドのものブロックキャリパーがおごられ、ディスクは放熱性の高いドリルドタイプとなっている。
さらに装着されるタイヤも、ブランドこそポテンザRE-71Rと市販品と同じネーミングだが、内部ベルト構造から共同開発された専用スペックのものが装着されていたのである。
軽量化に徹したエクステリアとインテリア
外観にも当然ながら専用パーツが多数備わっている。ボンネット、ルーフ、トランク、スポイラーは軽量なカーボン素材を採用し、リヤクオーターとバックウインドウはガラスではなく樹脂製となっており、軽量化にも余念がない。
当時、生産に携わったのは、あのレクサスLFAを手掛けた匠の工房であり、1日の生産台数はわずか2台だったという話を聞けば、納得できるはずだ。