中級編:AVCS(1998年登場)
中級編は「AVCS」から。その機構についてはクルマ好きなら馴染みがあり、システムを採用するのはスバルだ。3代目レガシィで初搭載された可変バルブタイミング機構(Active Valve Control System)の略称で、カムの位相を変化させ、吸気のバルブタイミングを連続的に変化させることで燃費と性能を両立させるシステムのこと。
ところで可変バルブタイミング機構といえばホンダの「VTEC(Variable valve Timing and lift Electronic Control system)」が有名だが、日本初採用は1984年に登場した三菱の「シリウスDASH3×2」エンジンだ。ただし、AVCSやVTECのようにカムを位相するのではなく、低速は吸排気ひとつずつの2バルブ、高回転ではカムを切り替えてバルブタイミング可変し、高速用のバルブも動かして3バルブとする機構だった。驚くべきはカムの作用角で、排気側カムが272度、吸気用の高回転用カムに至っては288度と、市販車としては異例のハイリフトを採用している。
ちなみにシリウスはおお犬座を意味する三菱エンジンの名称のひとつで、DASHはDual Action Super Headを意味している。1980年代前半、三菱はDOHCエンジンを持ち合わせていなかった。そこでSOHCに最新メカニズムを搭載することで、当時過熱していた2Lクラスの馬力競争に加わっただけでなく、週末ファミレスで交わされていたトークバトルでもファンの面目を保ったのだ。
中級編:RISE(1996年登場)
「RISE(ライズ)」と聞けば、トヨタのスモールSUVをイメージする人が多いと思うが、年代的にも別物(それにRAIZEとスペルも異なる)。ではRISEとは何なのか。それは1994年4月以降に発売された新車から義務付けられた、前面衝突試験に対応した三菱の新しい衝突安全ボディの略称である。Reinforced Impact Safety Evolution(進化した強化衝突安全)の頭文字を取ったものだ。エボリューションとはいかにも三菱らしいネーミングだ。
1996年登場の8代目(EA/EC型)ギャランから採用され、構造は年々進化しているが現在も変わらずこの名称が使われ続けている。ちなみにこの新しい衝突安全ボディにいち早く対応したのはトヨタで、1996年の5代目(EP9型)スターレットから採用。「GOA(Global Outstanding Assessmentの略)」のネーミングを掲げ、安全訴求キャンペーンを展開した。「GOAください」のTVCMを覚えている人も多いのではないだろうか。そのほかのメーカーはホンダが「G-CON(G-force control technology)」、スズキが「TECT(Total Effective Control Technology)」、そしてダイハツが「TAF(Total Advanced Function)」などとなっている。
上級編:LKA(2001年登場)
上級編は「LKA」をピックアップ。文字だけを見ると難易度は高いが、クルマ好きなら一度は耳にしたことがある安全に関わるシステムの略称だ。これは車載カメラで車線を検知し、長距離運転時に車線の中央を走るようにステアリング操作をサポート。ドライバーの負荷を軽減するLane Keep Assist (車線維持支援システム)のこと。
ちなみに「ACC(Adaptive Cruise Control=定速走行・車間距離制御装置)」とセットで使われることが多い。初採用は2001年の日産シーマで、当初は高速道路の直線のみだった。
そのほかの安全運転支援機能の略称をあげると2021年11月から義務化された衝突被害軽減ブレーキの「AEB(Autonomous Emergency Braking)」、モニターや音波レーダーなどで駐車を支援するシステムであるIPA「Intelligent Parking Assist」。そして、支援先進技術を駆使してドライバーの安全運転を支援するシステムを搭載した先進安全自動車が「ASV(Advanced Safety Vehicle)」など、多くがアルファベット3文字で表記されているのも特徴だ。