さて、NICSとはNissan Induction Control System(電子制御可変吸気コントロールシステム)。システム自体はR31に先んじてトヨタの1G-GEUに「T-VIS(Toyota Variable Induction System)」として採用されていた。ただし、T-VISは1本のマニフォールドをバルブ手前で2本に分け、片側にバルブを設けて切り替えていた。それにに対し、NICSは吸気マニフォールドをサージタンクから低回転用と高回転用を別に設け、それぞれ形状や長さを変えるなど凝っていた。
ただし、その不等長形状が設計通りの効果を発揮せず、低速トルクは十分得られたが、高回転が回らないという悪癖を引き起こした。これにより初期のRB20DETはスポーツユニットらしくないという烙印を押されてしまう。そのため、NICSはモデルサイクル内では異例といえる全面刷新が敢行され、後期型ではT-VISと同じシステムに変更されている。また、可変吸気マニホールドはトヨタ、日産以外にもマツダの「VIS(Variable Induction System)」や三菱の「MVIC(Mitsubishi variable induction control system)」などがある。
中級編:AVCS(1998年登場)
中級編は「AVCS」から。その機構についてはクルマ好きなら馴染みがあり、システムを採用するのはスバルだ。3代目レガシィで初搭載された可変バルブタイミング機構(Active Valve Control System)の略称で、カムの位相を変化させ、吸気のバルブタイミングを連続的に変化させることで燃費と性能を両立させるシステムのこと。
ところで可変バルブタイミング機構といえばホンダの「VTEC(Variable valve Timing and lift Electronic Control system)」が有名だが、日本初採用は1984年に登場した三菱の「シリウスDASH3×2」エンジンだ。ただし、AVCSやVTECのようにカムを位相するのではなく、低速は吸排気ひとつずつの2バルブ、高回転ではカムを切り替えてバルブタイミング可変し、高速用のバルブも動かして3バルブとする機構だった。驚くべきはカムの作用角で、排気側カムが272度、吸気用の高回転用カムに至っては288度と、市販車としては異例のハイリフトを採用している。
ちなみにシリウスはおお犬座を意味する三菱エンジンの名称のひとつで、DASHはDual Action Super Headを意味している。1980年代前半、三菱はDOHCエンジンを持ち合わせていなかった。そこでSOHCに最新メカニズムを搭載することで、当時過熱していた2Lクラスの馬力競争に加わっただけでなく、週末ファミレスで交わされていたトークバトルでもファンの面目を保ったのだ。
1996年登場の8代目(EA/EC型)ギャランから採用され、構造は年々進化しているが現在も変わらずこの名称が使われ続けている。ちなみにこの新しい衝突安全ボディにいち早く対応したのはトヨタで、1996年の5代目(EP9型)スターレットから採用。「GOA(Global Outstanding Assessmentの略)」のネーミングを掲げ、安全訴求キャンペーンを展開した。「GOAください」のTVCMを覚えている人も多いのではないだろうか。そのほかのメーカーはホンダが「G-CON(G-force control technology)」、スズキが「TECT(Total Effective Control Technology)」、そしてダイハツが「TAF(Total Advanced Function)」などとなっている。