サファリ・ラリーには「同時スタート」もあった
さて問わず語りのサファリ•ラリーはTC(タイムコントロール)制の続き。
サファリでは競技区間でのそれぞれのラリーカーのスタート間隔は2分。しかしステージの距離が長いから追いつくことが多々ある。 そして面倒なことに、前車が巻き上げている砂ぼこりのなか、抜けないまでも後ろに着くとTCに同分で入る場合がある。サファリラリーはなんと秒計時ではなく分計時なのだ。
これには以前、タイムコントロールにある時計がいい加減だからとても秒単位で計測できないという事情もあったようなのだが、その分計時の伝統が延々と続いてきたのだ。
すると何が起こるか? といえば、次の競技区間のスタートが2台同時になってしまうのだ。 TCがスタートラインとなりレースばりの1コーナーへ向けての全開スタートが見られる! という感じだが、基本的には追いつかれた方が道を譲るので、意地の全開スタートをしてもちょっとすると遅い方が道を譲りすべては丸く収まる。
しかし次の問題が出てきた。ときに3000kmも走ったとしても同点でゴールする場合があることだ。
そこで主催者は、その順位をわかりやすくするために秒計時のSS(スペシャルステージ)を組み込んだのだった。それもよりによってモンバサの街はずれの広い駐車場でのジムカーナ!
いちおう市街地のギャラリーステージのつもりのようだがサファリでジムカーナステージとはね~。 とはいえ、ゴール地点ナイロビからの遠い場所モンバサで、あらかじめSSの秒差順位を付けておけばそうそう同点ゴールにはならないのでひと安心なのだ。
執筆/三好秀昌
ラリードライバー、フォトグラファー。1990-1994年まで篠塚建次郎選手をドライバーとする三菱ラリーアートのチームマネージャーとしてサファリ・ラリーにも関わっている。自らもスバル・インプレッサのドライバーとして1995、1996(WRC)、1999(WRC)年参戦。1995〜96年2年連続サファリ・ラリーでグループN優勝。2007〜08年、アフリカ選手権サファリ・ラリーに三菱ランサーエボリューションのドライバーとして参戦。2008年FIAアフリカ・ラリーチャンピオン獲得。5回のサファリ・ラリーでは完走率100%。親しみあるショットの動物写真家でもある。