ステアリング同様に「NARDI」「MOMO」で宗派が分かれていた!?
海外の一流ブランドからも数多くの社外品が販売されていました。ステアリング交換ではNARDI(ナルディ派)やMOMO(モモ)派といった派閥争いも、政権与党会派の勢力図のごとく激しさを極めていました。もちろん二大巨頭の「NARDI」&「MOMO」は現在でも国内のアフターパーツメーカーから商品が発売されています。
こうした社外品の特徴は、メーカー系よりも幅広い選択肢があることです。例えばシフトノブの重さを変えることでシフト操作を軽く、もしくは重く感じるようにすることができ、シフトノブを短く(低く)することで、ストローク量を少なくしてより好みのフィーリングに近づけることができました。
かつて自動車雑誌ではスポーツカーのシフト操作について「手首を返すだけでシフトチェンジができる」などの評価がなされました。シフトノブを短く、重いタイプに交換すればストロークが大きいクルマでもスポーティにすることができたのです。
例えば上が1速で下が2速の一般的なMTの場合、純正では肘まで使って1速→ニュートラル→2速の「ヨッコイショ!」と操作が必要なクルマでも、ストロークが短くなれば肘を使う仕事量が減ります。そして、手首を上手く使うことでシフト操作量を減らし、より俊敏なシフト操作が可能になりました。
サーキット派には軽量で熱伝導率の低いチタン製が人気に!
ホンダ・シビックタイプRなど、一部の車種では純正でチタン製シフトノブを採用していましたが、アフター品ではさらに豊富な素材が用いられていました。なかにはカーボン製シフトノブも発売されており、夏は熱くなりにくく、冬は冷たくなりにくいなどの利点がありました。チタンも同様で熱伝導率が低くサーキットをガンガン走り、ギヤボックスの熱がシフトノブまで伝わるような走りをする人には、チタン製シフトノブがオススメでした。
対して、比較的よい気候の春秋シーズンは、本革のしっとりした感触を楽しむなんてこともできます。シフトノブは季節に応じて気軽にコーディネート(交換)できるパーツというわけです。
商用車では、インスタ映えする禁じ手みたいな方法もありました。例えばシフトリンケージを加工して、ドライバーのグリップ部をシフトノブに加工してしまう商品がいまも大手通販サイトで販売されています(商標登録的に問題がありそうですが……)。操作感覚こそ解りませんが、見た目のインパクトは大きいため、安全性に影響がない範囲で楽しめるのもグリップ交換の醍醐味と言えるかもしれません。
シフトパターン表示がないと車検には通らないので要注意!
そして忘れてはいけないのが社外品に交換する場合、ギヤの位置を示すパターン表記。シフトノブの上部に1-2-3-4-5-6-Rなどのシフトポジション位置が表示されていますが、この表記が明示されていないと車検には通らないのです。
社外品に交換して表示がない場合は、このパターン表記のシールなどが付属品として同梱されているのはそのためです。
純正シフトレバーの構造によっては交換不可な車種もあった
懐かしのシフトノブ交換を紹介してきましたが、近年忘れていけないのが、例えばリバースギヤに入れる際に、リングを引き上げながら操作するタイプやシャフトの角度が途中で曲がっている形状のモノ、さらにシャフトの径が途中で変わっている仕様などなど、さまざまな進化を遂げていること。場合によっては交換不可の純正シフトノブもあるので、愛車に取り付けられるかどうかをチェックしなければなりません。
また本格的にスポーティなシフト操作に仕上げたいのであれば、クイックシフトと呼ばれるシフトリンケージから交換する部品を取り付けることで、より素早く正確な操作が可能になります。
今回は、ドレスアップ&カスタマイズでシフトノブ交換を紹介しました。スポーツ性能を追求する方は、シフトリンケージも販売されていますので、まずそちらから追及していきながらシフトノブ交換のカスタマイズを楽しんでください。いずれにせよ、簡単にカスタマイズができるのは楽しいものですね。