ストイックさならS206に勝るスパルタンさを誇った
【WRX STI tSタイプRA/GVB型/2013年7月発売/限定300台】
3代目となるWRX系のGR/GV型で、最後のコンプリートカーとなるのが「WRX STI tSタイプRA」だ。2013年に300台限定で発売されたこのモデルは、標準モデルのほかSTI製ドライカーボンウイングなどを専用装備したNBRチャレンジパッケージやRECARO製スポーティバケットシートを装備したモデルも用意。
4ドアモデルのGVB型では、2010年発売のドライカーボン製ルーフを備えた「WRX STI tS」、そして2011年に登場したS206に続く、3台目のSTIコンプリートカーとなる。
注目はベース車両が軽量コンペティションモデルのスペックCであること。GVB型のあとのVAB型では、スペックCが存在しなかったため、実質スペックCをベースにした最後のコンプリートカーとなった。
ちなみにタイプRAという名称は初代レガシィから代々受け継がれてきたもので「Record Attempt(記録への挑戦)」を意味する。S206が究極のプレミアムスポーツモデルとするならば、WRX STI tSタイプRAは究極のコンペティションモデルといえる。それはベース車よりも穏やかなステアリングギヤレシオとしたS206に対し、逆に11:1という競技車両並みの超クイックなレシオからもスパルタンさを物語る。
2ペダルモデルながら走って楽しいスポーティさを実現
【WRX S4 STI Sport#/VAG型/2020年7月発売/限定500台】
現時点で最新のSTIコンプリートカーとなる「WRX S4 STI Sport#」は、WRX S4 STI Sportをベースに米国専用のコンプリートカー「S209」に採用した「セラミック・ホワイト」と呼ばれる専用ボディカラーを設定。フロントグリルやSTI製大型フロントアンダースポイラー、18インチアルミホイール、リヤサイドエアアウトレットなど、専用のエクステリアアイテムを数多く装備している。
インテリアもブラックのウルトラスエードをシートやトリムなどへ随所に配置しながら、ステッチ色やシートベルトを専用のシルバーにするなど、特別なマテリアルが採用されている。もちろんSTI製コンプリートカーとして、通気抵抗を低減したエアクリーナーエレメントと低排圧マフラーといった専用の吸排気パーツを採用するほか、CVTオイルクーラーといった冷却パーツも搭載。CVT車でも高次元での走りを楽しめた。
また、STIコンプリートカーならではの装備として各種フレキシブルパーツをふんだんに装備。なかでも、WRX STI Sport#には同モデル専用のフレキシブルタワーバーフロントを装備するほか、S209に採用されたフレキシブルドロースティフナーリヤが国内初装備されている。 名称こそ新世代のコンプリートカーを感じさせる「#」という音階記号を用いているが、その仕立てはSTIが手掛けてきた従来のコンプリートカー同様、究極の走りの気持ちよさを最新技術でグレードアップさせていた。