進化を遂げながら16年間にわたり生産が行われた
去る8月13日にランボルギーニから「カウンタック LPI800-4」という車名の新型ハイブリッド・リミテッドモデルが発表された。そのネーミングを見たり聞いたりして歓んだ人が多いと思うが、驚いてしまった人や、やっぱりカウンタック LP400のほうがカッコイイよね……と思ってしまった人も少なくないだろう。筆者は、どうだったのか? について告白しておくと「カウンタックのデビュー50周年を飾るに相応しいモデルだな」と思い、素直に歓んでしまった。
ランボルギーニの歴史を語る際に忘れることができないカウンタックは、ミウラの後継モデルとして開発され、1971年3月に開催されたジュネーブ・モーターショーにおいて、プロトタイプのカウンタック LP500として初公開。
市販モデルはマルチチューブラーフレームの主要骨格を採用
斬新なエクステリアデザインは、ベルトーネ在籍時のマルチェロ・ガンディーニが担当した。ランボルギーニのブースではなくカロッツェリア・ベルトーネのブースに展示されたイエローのLP500は、その後、市販に向けたテストカーとして使われ、最期はクラッシュテストに使用されて残念ながら消失したことで知られている。
メーカー公式の最高速度は300km/h!
当初予定していた5Lエンジンの導入もあきらめ、ランボルギーニ・ミウラに横置きで積まれていた排気量3929ccの水冷60度V型12気筒DOHCエンジンをミッドに縦置きで搭載した。3929cc/V12エンジンの最高出力は375psに抑えられていたが、ランボルギーニから発表された最高速度はLP500と同じ300km/hのままだった。
大人になってから冷静に考えれば“300km/h”というのは到達するのが難しいトップスピードであることがすぐさまわかる。だが、往時は「スーパーカーはスペックが命」といった風潮があり、子どもたちはLP400と365GT4/BBの間で勃発した最高速戦争の話で大いに盛り上がった。
ホイールベースはトヨタMR-Sと同じ
さて、スタンツァーニは、ガンディーニによる独創的なデザインを具現化し、カウンタックのハンドリングを向上させるためにショートホイールベースにこだわった。エンジンの前にトランスミッションとクラッチ、エンジンの後ろにデフを配置するという革新的な設計を行っている。
その結果、ミウラよりも50mm短い2450mmというホイールベースと、48:52という前後重量配分を実現。ホイールベース=2450mmというのは昨今のクルマでいえばトヨタMR-Sと同じ数値なので、それがいかに短いのかを窺い知れるだろう。
最終型のプロトタイプにはオーバーヒート対策がしっかり施されていた
前述したように、カウンタック LP400の市販化への道は険しいものとなり、オーバーヒート対策としてエアインテーク、エアアウトレット、NACAダクトなどを設けるなどし、冷却効果を高めた緑色のプロトタイプが1973年のジュネーブ・モーターショーで展示される。そして、翌年の同ショーにおいてLP400の最終プロトタイプを公開した。
晴れて市販型のデリバリーが開始された。 ウェッジシェイプそのもののような斬新なプロポーションや、上方に開くスイングアップドアといったセンセーショナルなディテールを採用していたカウンタック LP400は、デビュー当初こそ独自の先進性がアドバンテージポイントとなった。だが、80年代を迎えようとしていたころから、ライバルたちと比較してメカニズム的にも視覚的にも旧態化が目立つようになってしまった。
マイナーチェンジごとに各部をアップデート
そこで1978年にフロントスポイラーとオーバーフェンダーを装着し、足もとに当時最新の超扁平タイヤを履かせたエボリューションモデルのカウンタック LP400Sを登場させ、さらに1982年にはエンジンの排気量を4754ccまで拡大したカウンタック LP500S(5000S)をデビューさせた。
このウルフ・カウンタックことランボルギーニ カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1は、かつて松田優作さんが出演した1979年公開のハードボイルド映画「蘇える金狼」に登場したことでも有名だ。
各部のアップデートにより、新たなカスタマーを獲得することに成功したカウンタックは、80年代も人気車のひとつとして注目される。1985年に排気量を5167ccに拡大し、エンジンヘッドを4バルブ化した5000QV(クワトロバルボーレ)に発展。さらにクライスラー傘下となった1988年には、ランボルギーニ社の創立25周年を記念したカウンタック最終型のアニバーサリーが登場した。