関谷正徳の心に残った「レーシングマシン」達
日本人初のルマン24時間総合優勝を成し遂げ、日本モータースポーツ界を代表するレジェンドドライバーである関谷正徳さん。そんな関谷氏は自身のキャリアの中で、フォーミュラやハコ車など、ありとあらゆるレーシングマシンを乗りこなしてきました。その中から印象的だったマシンを聞いてみました。
TS010はキャリアの中で最高性能のマシン
Cカーやツーリングカー、フォーミュラカーとさまざまなカテゴリーでレースをしてきた関谷さんですが、その中で印象的だったマシンを教えてください。
「色々あるけど、やっぱり一番はTS010だね。ルマンで2位になれたというのも非常に思い出深いけど、自分のキャリアの中で最高性能のマシンだった。
Cカーの進化を実感した85Cと92CV
グループCというと関谷さんは、黎明期から最後まで乗られたわけですが、ほかにも印象に残っていたり、思い出深いマシンはありますか?
「もちろん。色々あるけど、その中でもルマンに初めて出たときに乗った85Cと、グループC旧規定最後の92CVはとくに思い出深いね。85Cは450ps程度しかパワーがなくて、正直遅かったよ。ルマンのストレートでは当時の主役とも言える存在だった962Cとのスピード差にビックリしたね。
4気筒ターボだったエンジンはV8ターボになって、パワーも1000psオーバーに。モノコックもアルミからカーボンになって剛性も上がった。92CVはグループCの完成形とも言えるマシンだったよ」
思い出深いカテゴリーJTCCで戦った3台
続いて関谷さんはJTCCを共に戦った3台のマシンの名前を挙げた。
「JTCCで乗ったコロナ、コロナEXiV、チェイサー、この3台も印象的だね。グループAが終わってJTCCになった訳だけれども、市販の4ドアセダンをベースにした車両で争っていて、エンジンも全車2.0LのNAで均衡が保たれていたし、やっている側としても面白かったね。コロナは初年度に自身がチャンピオンになったマシンということで、記憶に強く残っているよ。
グラチャンマシンは空力に優れていた
そして最後に挙げたのは富士グランドチャンピオンレースで乗っていたレイトンマーチ89GCだった。
「レイトンマーチ89GCはグラチャン最後のシーズンとなった1989年の最終戦で優勝できたのが印象深いよ。自分のマシンはグラチャンカーとしては最高の性能を持っていたね。基本的にエンジンは他のマシンと同じだったから、空力が優れていたんだ」
あらゆるカテゴリーで勝利を収めてきた関谷さん。それだけに人によってはイメージの強いマシンは違うかもしれません。しかし、「勝利したマシン」であることもそうですが、「性能が良かった」マシンが印象的だったことが今回のインタビューで見えてきました。勝利への思い出だけでなく、速さへの思い出を語って下さった、そんなレーシングドライバーらしい印象を受けた取材でした。