キャッチコピーは「Hip up coupe(ヒップ・アップ・クーペ)」
1972年の東京モーターショーに参考出品(三菱では“ショーモデル”の位置づけでした)された三菱ギャランGTO R73-Xは、中でも有力な一案でした。
1970年に登場したギャランGTOは、そもそもウェッジシェイプを効かせたコルトギャランのファミリーの一員でしたが、こちらも全体的にウェッジシェイプを効かせた上で、“コーダトロンカ”と呼ばれるテールエンドを少し蹴上げた格好のリヤビューが大きな特徴となっていました。
それがスタイル上でのひとつのアピールポイントにもなっていて、キャッチコピーは『Hip up coupe(ヒップ・アップ・クーペ)』と表現されていました。GTO R73-Xは、そのGTOのボディをベースにノーズを少し延長してリヤにスポイラーを追加、さらにボディ両サイドについても前後にオーバーフェンダーを装着するなど迫力を増す出で立ちとなっていました。
またフロントビューではボンネット上、左側にエアスクープが設けられていることでも、迫力が増していました。結果的にボディの3サイズは全長が4185mm、全幅が1655mm、そして全高が1325mmとされ、ベースのGTOに比べて全長で60mm長く、全幅で75mm広く、そして全高で10mm高いものとなっていました。
ちなみにホイールベースは2420mmで共通でした。前後のオーバーハングに関しては正確なデータ(数値)が不詳ですが、外観から判断する限り、全長で伸びた分はほぼそのまま、フロントのオーバーハングの延長に使われているようです。このことからも、GTOの後継モデルでは2Lの直6エンジンを搭載するプランもあったと判断してよいでしょう。
運転席からワイヤーでコントロールできるスポイラーを追加
一方、ベースモデルとほぼ同じサイズ感となったリヤビューですが、トランクリッドの後端がヒップアップした形状もベースモデルと同様でした。しかし、じつはそのトランクリッドの後端上面にはスポイラーが追加されていて、跳び箱を飛び越えるときに使うロイター版(踏切板)のような形状で、角度がアジャスタブルとなっていて、しかも運転席からワイヤーでコントロールできるという、特徴的な仕掛けがありました。
またリヤのCピラー(クォーターパネル)には、ベースモデルでは、キャビンからの室内気を抜くエアアウトレットが設けられていましたが、GTO R73-Xでは3連のスクープ・ウインドウが設けられていました。これはデザイン上のアクセントというだけでなく、GTOでは一部で不満も聞かれた“後方左右の視界不足”に対する三菱からの回答だったのかもしれません。ダッシュボードを含めてインテリアはGTOのトップグレードに準ずるものでした。