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全盲ライダーも果敢に走行! 障がいのある方も楽しめる「パラモトライダー体験走行会」が開催

この記事をまとめると

■青木三兄弟の長男・宣篤氏と三男・治親氏のプロジェクト
■今回は全盲の方を含めて5名が参加
■万全の体制でアクシデントもなく全員が笑顔に

SSPパラモトライダーが順調に誕生中

 レーシングライダーとして世界で活躍した青木三兄弟の長男・青木宣篤選手と三男・治親選手のふたりが立ち上げた、一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)。次男・青木拓磨選手の障がいからのライダー復活をきっかけに、事故などで障がいを抱えてしまって、2輪車を諦めた人に再びオートバイに乗ってもらい、オートバイに乗る趣味を一緒に楽しんで行けるように、昨年6月から一般の障がいのある方を対象とした「パラモトライダー体験走行会」を開催している。

 その活動初年度となる2020年度は6回を開催した「パラモトライダー体験走行会」だが、2021年度は、3月29日(千葉県・袖ケ浦フォレストレースウェイ)、6月7日(千葉県・袖ケ浦フォレストレースウェイ)、6月28日(三重県・鈴鹿サーキット)、7月18日(神奈川県・向ヶ丘自動車学校)とこれまで4回を開催。そしてこの9月1日(水)に袖ヶ浦で今年度5回目の体験走行会を開催した。

下肢に障害があってもバイクを楽しめるシステムを搭載

 SSPでは、下半身不随の障がい者でも乗車が可能となる補助システムを搭載したバイクを製作した。制御の利かない下半身は、両腿を制御するシートベルト、そしてライディングブーツとバイクのステップをビンディングで接合。そして、停車時・走行開始時に自立しないバイクを支える数多くのボランティアスタッフが支えることでライディングを可能にし、このパラモトライダー体験走行会を開催してきている。今回もSSPのサイドアシスト車(アウトリガー補助輪付きの小型車両)と、シフトべダルにアクチュエーターを取り付け、シフト操作を手元で行なえる仕様となったMVアグスタ・ストラダーレ800&ドラッグスター、BMW F750GS&R1250Rが用意されている。

 残暑が突然終了したかのような秋らしい気候のなかでの開催となった。9月初旬の開催ということで体温調整も難しい脊髄損傷者の体調管理を心配していたが、それは杞憂に終わった。ただ、小雨の一日となり、降ったり止んだりの中、路面はウエットで、参加者の転倒に注意しながらの開催となった。

 今回も多くのボランティアスタッフが早朝から会場に集まり、自主的にサポートの確認作業をするなど準備も着々と進めていく。この体験走行会はまだまだ手探りのところもあるが、回を重ね、走行会が終了する度に、さまざまな検討が重ねられている。使用する車両のセッティングであったり、参加者の身体拘束の仕方など参加者の状況に合わせた改善を行ってきた。前回からサインハウスの協力でB-comというヘルメットに内蔵できるインカムも採用しており、リアルタイムで参加者とのやりとりができるようになってもいる。

バイクへの情熱を持った5名が参加してくれた

 この体験走行会は以前までは脊椎損傷によって車いす生活を余儀なくされた参加者ばかりだったが、今回の走行会には、5名の参加者が来場した。Th12-L1の脊椎損傷による下半身の完全麻痺の2名、古谷 卓さんと長田龍司さん。大腿切断による義足の2名、丸野飛路志さんと諸隈有一さん(ともに初参加)。そして7月に開催した会で、初めて参加した盲目の縫田政広さんとなる。

 すでに体験走行会で走行経験をしている参加2回目の車いすの2名は、早々に大型バイクに乗ってコースを周回。そして義足の2名もパドックでの動作確認の後、サーキット走行を開始。

 走行を終えた古谷さんは「車いす生活を余儀なくされたとき、足が動かないことよりもバイクに乗れないことのほうが辛かった。こうやってまたバイクに乗れたことを純粋に感謝しています」とコメント。またその古谷さんをこの走行会に誘った丸野さんは「まったく同じ日に事故をした同じ境遇のバイク仲間と一緒にこうやって走れるなんて夢にも思わなかったから嬉しいです」と語った。

 また長田さんは「もっと乗りたいし、もうちょっと速く走りたい。もちろん、今度はドライ路面で!」と次の機会を早くも楽しみにしている様子。諸隈さんも「久しぶりというより、初めての体験。楽しくて楽しくてひたすら笑ってました」と。

 この日、途中からの参加となった盲目の縫田さんについては、前回自動車教習所での走行の確認はできており、パドックを利用して、コーナリングの確認を経て、ついに本コースデビューとなった。念のためアウトリガー付きの車両を使用し、搬送車両はバイクではなく車両を使用。インカムで進行方向や曲率を指示しながらコースを一周した。途中コースアウトする場面もありスタッフに緊張が走ったものの、無事にコースを周回した。

 周回を終えた縫田さんは「すごく緊張しました。でも、後ろから皆さんがしっかり指示してくれて安全に走ることができました。本当に皆さんには感謝しかありません。感謝、感謝です!  そして、また乗りたいです!」と感想を述べてくれた。

 サイドスタンドプロジェクト(SSP)「パラモトライダー体験走行会」、次回は9月19日(日)に群馬県自動車教習所での開催を予定している。参加ボランティアも募集中だ。

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