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「3ナンバー化」で大失敗! ユーザーがそっぽを向いちゃった「悲運の国産車」5選

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: ニッサン/ホンダ/Auto Messe Web編集部

悲運の3ナンバー化があった過渡期

 最近は欧州Bセグメントと呼ばれるコンパクトハッチまで全幅1700mmを超え、3ナンバーサイズが増えてきた。これは国内モデルと輸出用モデルのボディを共通化(グローバルカー)とすることで、開発コストを下げることや厳しくなる衝突安全基準の対応、居住性の確保などが主な理由だ。そのため、5ナンバー規格自体があまり意味のないものになりつつある(ただし、日本の道路幅や駐車枠などは新しいもの除けば1960年代から大きく変わっていので、5ナンバーが使いやすいのは確かだが)が、今から15年より前は3ナンバー化に嫌悪感を抱くユーザーは少なくなかった。

 とくに自動車税が大幅軽減され、5ナンバーとの税額差が縮まった1989年直後はバブルの勢いもあって、多くのクルマがボディ拡大する高級路線に走ったが、それがあだ(理由はそれだけではないが)となり、売り上げが低迷したクルマもある。今回は3ナンバー化で失敗した悲運の新型車を5台ピックアップした。

日産シルビア(6代目)

 3ナンバー化でコケた代表車種として取り上げられることの多い6代目シルビア(S14)。日産には1世代ごとに成功と失敗を繰り返すジンクスのようなものがあるが、シルビアもその例に漏れず、奇数型式がヒット、偶数が低迷している。

 歴代シルビアで大ヒット作となった5代目シルビア(S13)の後を受けて1993年に登場。イメージはS13を踏襲していたが、年齢を重ねたオーナーからの乗り換えを考え、1ランク上の大人っぽい落ち着いた雰囲気のクーペに仕上げられていた。シルビアS14 また、その当時の日産のスポーツカーのデザインは丸みを帯びたエレガントなスタイルが多く、シャープで軽快、スポーティな印象は薄れた。3ナンバー化したことで多少の嫌悪感はあったものの、思うように売れなかった大きな原因は、ユーザーのシルビア像と乖離したデザインと重量増、スポーティさに欠ける室内デザイン、バブル崩壊の影響を受けたチープな部品類、スポーツカーとしては物足りないパフォーマンス面(他社が280psに到達している時代に220psでは足りない)にあったと思う。シルビアS14インテリア バブル崩壊の影響とクルマの多様化の影響はあったが、販売台数はS13の半分以下。そのため、不評だったデザインをマイナーチェンジで大刷新。フロントマスクは精悍な吊り目となり、バンパーも立体的なデザインになるなどキャラクターを変えている。それほど販売台数は低迷したのだ。そのためか、7代目のS15では5ナンバー枠に戻されている。

 ただ、全幅の拡大はより幅広いホイールがそのままで履け、パワートレインは同じなのでチューニングベースとしては次の世代のS15よりも優れている。R33スカイラインとともに実力はあるが、高く評価されないスポーツカーとして名を連ねている。

ホンダ・シビック(8代目)

 ホンダの基幹モデルとして1972年に誕生したシビック。スポーツハッチの代表作として数多くの名車を生んできたが、雲行きが怪しくなってきたのは2000年に登場した7代目あたりから。看板であった3ドアハッチが消え、5ドアハッチと4ドアセダンのみの設定となり、スポーツイメージを払拭し、ハイブリッドカーを設定するなどデザインを含めて次世代のスタンダードカーを目指した。

 だが、これが既存ユーザーから大不評。3ドアはイギリス仕様のタイプRのみとなり、排気量は2Lと事実上インテグラグラタイプRの兄弟車のような位置づけ。独自性が薄れ、これまでのハッチバックユーザーの大多数は行き場を失った。8代目ホンダ・シビック シビックユーザーとの乖離が明らかとなったのは2005年に登場した8代目で、国内におけるボディバリエーションは4ドアセダンのみとなり、3ナンバー化。ホンダも「シビックはベーシックカーからミドルクラスへ移行する」と明言。8代目ホンダ・シビックダッシュボード周辺 初代から続いてきたコンパクトカーの役割はフィットに受け継がれ、海外に軸足を置いたモデルとなったことでシビック離れが加速。9代目ではタイプR以外、国内販売を止めるという異常事態を引き起こした。

 

トヨタ・イスト(2代目)

 1999年登場のヴィッツの新世代プラットフォームを使った兄弟車(プラッツ、ファンカーゴ、bB)の最後を飾ったのが2002年にデビューした初代イストだった。2代目トヨタ・イスト クロスオーバーという立ち位置であったが、見た目はヴィッツよりもちょっと大きくて、スポーティなハッチバックという印象で、ブリスター風の力強いフェンダーデザインと切れ長なライトがカッコよかった。2002年には1カ月4万台以上を記録するほどのヒット作となった。翌年にはサイオンxAとして北米に投入され、こちらでも上々の人気を博したことが、イストの運命を変えることなる。

 2007年に登場した2代目イストは国内ではなく、海外での販売を意識したデザインへとモデルチェンジ。マッシブな雰囲気は共通だが、スポーティな初代とは異なり、SUVチックな力強い方向転換。さらに北米のニーズを取り入れ、ボディを3ナンバー(1725㎜)へと拡大したのが致命的で命取りになった。2代目トヨタ・イストインテリア Bセグメントでも3ナンバー車が出ている今なら問題ないサイズだが、国内では5ナンバーのコンパクトハッチしか存在しなかった14年前だけに、ユーザーも受け入れがたかった可能性は否めない。

 

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