日産ローレル (C33型)
スカイラインは1989年5月デビューのR32型でピラーレスハードトップが廃止されたが、同じく日産のセダンでもローレルは違った。 1989年1月に発売されて1992年12月に製造を終了するC33型まで継承されているのだ(その後のC34型はBピラーつきでサッシュレスドアを組み合わせた「ピラードハードトップ」へ変更)。
ローレルといえば同時期の日産の上級セダンである、スカイラインやセフィーロに対して大人のセダンというイメージだが、じつは3兄弟のうち唯一のハードトップだったのである。
日産ブルーバード ハードトップ (U12型)
1987年に登場したU12型のブルーバードといえば、「ATEESA」というブルーバード初の4WDを搭載したことで記憶に残っている人も多いだろう。じつは、このクルマにもピラーレスハードトップが展開されていた。ブルーバードとしてヒットした最後の世代であると同時に、ピラーレスハードトップを用意した最後の世代でもある。 生産終了は1991年だが、じつは日産のなかで最後まで残ったピラーレスハードトップの中の一台だ。シルビアでおなじみの、2.0L 4気筒ターボのSR20DETエンジンを搭載した走りのモデルも用意されていた。
ところで、ピラーレスハードトップはどうして消えてしまったのか? 理由はふたつ考えられる。
ひとつは側面衝突時の対応。横から突っ込まれたときの、乗員の保護性能向上だ。真横にピラーがあるかどうかで車両の変形度合いは大きく変わってくる。変形することで衝撃を吸収する前方や後方と違い、側面衝突の場合は車両の変形が生存空間を脅かすのに直結し、乗員へダメージを与えることになる。
また、Bピラーがないことは車体剛性上も不利で、走りを考えたらあるに越したことはない。
もちろん、オープンカー、そして今でも一部のハイエンドクーペにはBピラーがないので、Bピラーレスのクルマ作りも不可能ではない。しかし、そのためには車体の補強が必要となって重量が増し、コストもかかる(そう考えるとあの価格とあの車両重量で実現しているマツダ・ロードスターやダイハツ・コペンは凄い)。メルセデス・ベンツやロールスロイスのようなコストを厭わず補強に出るハイブランドのクーペならそれでもいいかもしれないが、一般的な車種にピラーレスを採用するのは難しいだろう。
あのとき以来、安全や剛性アップと引き換えに、自由で堅苦しくない雰囲気を失ってしまった。ただ、それだけのことではあるが……。