ローダウンするにはダウンサスと車高調の2タイプがある
クルマのローダウンカスタムには、ダウンサスと呼ばれるショックアブソーバーは純正のままでスプリングだけを交換することと、「車高調(シャコチョウ)」と呼ばれる、コイルオーバー化(コイルスプリングとショックアブソーバーが一体となった)した車高調整機能付きのものを装着する、ふたつの手法がある。
なかでも車高調は、その名の通り決められた範囲内で自由に車高を変えることができるサスペンションのことを指す。
カスタムの多様化で車高調はさまざまなタイプが設定される
車高調といえば、ひと昔前では乗り心地がハードでサーキット走行を嗜む一部のユーザー向けのアイテムという認識が強かった。しかし、最近ではスポーツモデルだけでなくファミリー向けのミニバンにまで、その設定が幅広く展開されている。
なかでも車高調を構成する部品のひとつであるコイルスプリングは、適合車種に合わせてバネレートがソフトなものも増えてきた。さらに、サスペンション取り付け部の上側にあるアッパーマウントは、ダイレクト感や細かな調整を可能としたピロボール式だけでなく、あえて純正のゴムアッパーマウントを流用するタイプも増えてきている。ちなみに純正のゴムアッパーマウントはキャンバー角の調整機構を持たない代わりに、経年劣化によって異音が発生しやすいピロボール式に比べてその心配はなく、乗り心地だけでなく耐久性の面でも有利な構造となっている。
マイルドな乗り味になるのがゴムアッパー仕様の特長
筆者のレヴォーグには「HKSハイパーマックスIV GT SPEC-A」(※現在は生産終了)を装着しているが、一部車種によっては異なるが、このパーツも強化ゴムアッパーマウントを採用しており、装着後5万kmを走破した現在でも異音は発生していない。また、このスペックAはラリードライバーの新井敏弘選手監修によるセッティングが特徴で、すでに絶版モデルとなってしまったが、新井選手がプロデュースしただけありサスペンションをしっかり動かす味付けとなっている。
あらゆる路面を知り尽くしたラリードライバーが手掛ける乗り味は、サーキットだけでなくワインディングや街乗りでもじつにしなやかで乗り心地は至極快適だ。また、ビルシュタインからはSUPER GTドライバーの山内英輝選手が監修した車高調「SUBARU WRX S4用 B14 ネジ式車高調整サスペンションキット」(WRX S4専用で50台分限定という希少モデル※すでに完売)が存在する。
その乗り味はどんなシーンでも気持ちの良いコーナリングと乗り心地をキープしたまま、ソリッドでシャープなハンドリングを実現した絶妙なセッティングが施されている。こうしたプロドライバーが監修した車高調は、オーナーとしては所有するだけでテンションが上がるプラスαの満足度が高まる。
減衰力調整機能付きもありセッティングの幅はさらに広がる
車高調にはシンプルに車高調整機能だけのものと、ショックアブソーバーの減衰力特性を変えることができる減衰力調整機構付きとがある。後者を簡単に説明すると、ショックアブソーバーの減衰特性(ピストンスピード)を調整することで、走るステージに合わせて「ワインディングでは硬め、家族を乗せるときは柔らかめ」など、セッティングをフレキシブルに変更することができるのが特徴だ。
調整方法は、サスペンション取り付け部の上部またはロアブラケットにあるダイヤルを指で回したり、調整穴に専用工具などを差し込み、ネジを回して調整するのが一般的だ。 車高調レンチを使って車高を上げ下げする作業に比べると圧倒的に調整は簡単だが、それでも車種によってはクルマを止めて車体の下に手を入れたり、ラゲッジの荷物を降ろしたりといった手間もある。
そこでもっと簡単に車内から調整が可能なモデルも存在する。テインの「EDFC」やブリッツの「DSC」など、好みの場所に電子式のコントローラーを装着して、車高調に取り付けたステッピングモーターを操作することで、走行中でも減衰力の調整が可能となる。