初代GC8型も4年間の進化でラップタイムを2秒も短縮
ちなみにトップ10ランク外になるが、第一世代の最速は初代GC8型「インプレッサWRX STiバージョンⅢ」が【1分05秒92/1996年12月】で13位にランクイン。当時は2Lターボとは思えないほどの好タイムを記録。それは第一世代のインプレッサWRX STiだけでなく、ライバルの三菱ランサー・エボリューションの第一世代と比べても、目を見張る速さを誇っていた。 余談ながら1992年11月のテストで初登場したGC8型の軽量モデル「インプレッサWRXタイプRA STiバージョン」のタイムは【1分07秒99】で、GC8型の最速タイム比較すれば4年間で2秒も縮めたことになる。この短期間で大幅な性能の向上。これが現在にも続くWRXの歴史を紡がせる人気の原点と言える。 そして14位に入ったのは、【1分05秒95】を記録したインプレッサWRX STI(GRB型)で、GRB型としてはそれまで5回のタイムアタックを行っているが、これが第三世代の最速。第三世代は、WRC(世界ラリー選手権)のレギュレーションが不利な状況に変わってしまったことから翻弄されたモデルであり、5ドアでデビューしたと思ったら、途中で4ドアが追加されるなど、開発陣は苦労されたに違いない。 そのなかでこのタイムは十二分に素晴らしい。また先代のインプレッサWRX STIスペックCタイプRA-Rのような走りに特化したモデルがあればまた結果は違ったはずだ。
プレミアム路線への傾倒で最速王争いは終焉
そしてもうひとつの理由に挙げられるのが、走りの質を求めたこと。時折限定発売されるSTIのSシリーズはプレミアムとして定着しており、数少ない国産プレミアム・スポーツながら発売と同時に完売が続いていた。そうなると、ベースとなるWRXがそちらに近づくのは当然。単純な速さだけではなくて快適性と扱いやすさまで求められるようになり、タイム一辺倒ではなくなったことが伺える。WRXは世界から愛される日本のプレミアム・スポーツとなったのだ。 現在のWRX STIはその性能向上の理由となったWRCには参戦しておらず、インプレッサの名前が完全に外れた第四世代のVAB型は、素晴らしい性能を備えたプレミアム・スポーツとして人気を誇った。それゆえに新型WRX STIにも多いに期待したいところ。次期型モデルの購入を検討している人も新型へとしっかり受け継がれるDNAを、ラップタイムとして可視化した進化の過程を考察してみてはいかがだろうか。
■インプレッサWRX STI 筑波サーキットテストラップタイムBEST10