偉大な大衆車「コルト」の血脈にあるラリーアートバージョンR
三菱にとって「コルト」の名は偉大な名前であり、ファンとしも大事にしてほしい車名だ。なにせ戦後の復興期に、現在はロケットや航空機を手掛ける現在の三菱重工(当時は新三菱重工)が発売したクルマの名であり、1962年に発売されたコルトは三菱の乗用車の発展に大きく貢献したクルマ。現在でも三菱コルト自動車販売といった販売店があることからも、歴史ある名称といえる。
流麗なハッチバックスタイルはグッドデザイン賞を受賞
前置きが長くなってしまったが、日韓FIFAワールドカップで沸いた2002年に発売されたコルトは、ワンモーションフォルムのキレイな実用コンパクトカーであった。スタイリングはまさに一筆書きで描かれたような流麗さで、その完成度が非常に高かった。開発は当時提携していたダイムラーとの共同であったが、流れるようなスタイリングでもあり塊感のある好バランスによって、グッドデザイン賞を受賞するほど、小さなクルマでありながら所有するよろこびも満たされるほどの完成度を誇った。
そんなコルトであるが、現状三菱においては最後のホットハッチと呼べるコルト・ラリーアートバージョンRの前に、2004年に新たにドイツ開発となった1.3Lと1.5Lエンジンの通常仕様に加えて、1.5Lターボを搭載したコルト・ラリーアートを発売。
コルト・ラリーアートを過激にチューニングした「バージョンR」
そしてコルト・ラリーアートの成功を受けて、2006年5月、CVTに加えて5速MTも用意したFFの「コルト・ラリーアートバージョンR」が誕生した。
さらに過激さが増した特別仕様車や限定車が次々と登場
2007年にはレカロシートを装備した特別仕様車「コルト・ラリーアート バージョンRレカロエディション」の発売や、エンジンの最高出力を154ps→163psに向上。2008年にはボディがさらに補強された「コルト・ラリーアート バージョンRスペシャルエディション」も限定発売されている。
ルックス、走りともに「ヤンチャ」さ全開で走る楽しさが溢れていた!
ノーマルのコルトが生真面目な実用車だとしたら、オーバーフェンダーのルックスを含めてまさにヤンチャという形容詞が似合うのがコルト・ラリーアートバージョンRだ。峠道ではミズスマシと言いたくなるようなハンドリングと、現在の水準ではちょっと重めの操作系、渋滞ばかりでは楽しさは味わえないが、通常の市街地を流すだけでも積極的に走りを楽しめるドライブフィールは、日常で操る楽しさを味わえる貴重な存在であった。
■三菱コルトラリーアート バージョンR主要諸元
〇全長×全幅×全高(mm):3925×1695×1535mm
〇ホイールベース(mm):2500mm
〇車両重量:1110kg
〇エンジン:直列4気筒DOHCターボ
〇総排気量:1468cc
〇最高出力:119.9KW(163ps)/6000rpm
〇最大トルク:210N・m(21.4kg-m)/3500rpm
〇タイヤサイズ:205/45R16