クリーン改良ディーゼルの利点とともに
また、なぜ環境に悪いディーゼルエンジンがラインアップされているのかとの声もある。
これは1992年に関東および関西圏の市区町村を対象に制定された「自動車から排出される窒素酸化物および粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」、 いわゆる自動車NOx・PM法が施行され、当時のディーゼル車=黒煙を吐き空気を汚すクルマのイメージが少なかれ残っているからだろう。
だが現代のディーゼルエンジンは改良が加えられクリーンで低燃費、振動も少なく静かになっている。EUでは乗用車にもディーゼルエンジンが使用され、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディのような高級車にもディーゼルのラインアップがある。 ディーゼルエンジンの経済性に目が行くユーザーが多いが、ディーゼルは四輪駆動車にとてもマッチしたエンジンでもある。
ディーゼル車は低回転からトルクが太く、凹凸の激しいラフロードや岩場では低速で路面状況を確認しながら進むことができる。さらに、ガソリン車と比べ重い荷物を積んでいても、発進や上り坂を容易に登ることが可能。また燃費もいいのでガソリン車と同じ容量のタンクなら航続距離も長くなる。
ディーゼルエンジンはガソリンエンジンのように圧縮されたガソリンと空気が混ざった混合気にスパークプラグで点火するのではない。シリンダー内で空気を高圧力で圧縮し、高温になった圧縮空気に軽油を噴射して燃焼させる。そのため高圧縮に耐えられるように頑丈に作られている。そのぶん重くはなるが耐久性はガソリンエンジンを上まわり、高負荷の掛かる路面での運転にもアドバンテージがある。 トルクフルで堅牢性、耐久性が高く燃費の良い内燃機関、ディーゼルエンジンはときには厳しい運転を強いられるランドクルーザーを含む四輪駆動車に適していると言えるだろう。
生活現状をサポートする信頼性
冒頭でふれたが世界でゼロエミッション化が進んでいる。これはランドクルーザーも無視できないときが来る。そのときはどうするのだろうか。EVが追加されるのか、いや、水素エンジンがあやしい。
しかし今、ベストな選択は何か、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンになってくるだろう。ランドクルーザーは先進性より信頼性を優先するクルマではないだろうか。「ランドクルーザーが無いと生活できなくなる」世界にはまだ生活インフラが十分に整っていない地域が数多く残っている。ランドクルーザーはそこに住む人たちの生活を守ってもいる。世界に広がるランドクルーザーだからこそ、ゼロエミッション化への繋ぎの主役でもあるだろう。ランドクルーザーはモデルチェンジのスパンは長い。その間、環境性能の技術も向上するだろう。次期ランドクルーザーはどう進化してどんなラインアップになるのか今から楽しみだ。