アメ車ではOHVが主流エンジンである理由とは?
21世紀となった現在でも、アメ車にはオーバー・ヘッド・バルブ(以下、OHV)というエンジン型式が残されている。ガソリンエンジンの起源はサイド・バルブ(SV)エンジンになるが、このSVエンジンが大量生産に適していたことから一般的になったと記載されている。
ガソリンエンジンの進化の歴史を振り返る
前述の通りエンジンが生まれた当初はサイド・バルブ式であった。サイド・バルブ(以下、SV)はその名のとおり、吸排気バルブは燃焼室と並んで横に設置され、バルブの向きもOHVとは逆に傘部が上になるレイアウトであった。
プッシュロッドの弱点を解消するOHVエンジンが登場!
OHVはSVに対して優れた構造であったのだが、高回転になるとシャフトが長く重さのあるプッシュロッドがカムの作動に追従することができなかった。そのことからプッシュロッドを廃してカムシャフトをシリンダーヘッドに収めて、直接ロッカーアームを作動させるOHCが登場する。
アメリカではOHVが主流エンジンに君臨する真相は?
話をOHVに戻そう。アメ車がいまだにOHVを採用する理由は、エンジン上部にカムシャフトを備える必要がなく、簡素化した構造ゆえに重心高を低く抑えられること。それだけ? と言われてしまいそうだが、アメリカで人気があるのはマルチシリンダーのV8エンジンで、エンジン形式がDOHCなら4本のカムシャフトがエンジン上部に備わることになるが、OHVであればエンジン下部になるため重心高の高低差は歴然だ。
北米で一番売れているクルマは実用性の高いフォードFシリーズなどのピックアップトラックで、国土が広い北米大陸では、日本の整備工場のように最新の設備を備えているわけではない。そのため、構造がシンプルでメンテナンス性に優れるOHVが、21世紀の現在でも主流エンジンであり続ける理由だ。