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ランボルギーニ幻の「オープンモデル」! 市販されなかった「ジャルパ・スパイダー」とは何か

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了/LAMBORGHINI/Ferrari

ジャルパのデザインはベルトーネではなかった?

 その上屋に架装されたボディは、ウラッコ&シルエットと同様にカロッツェリア・ベルトーネがデザインを担当していました。ウラッコ&シルエットのデザインを統括したのは、当時ベルトーネでチーフデザイナーを務めていたマルチェロ・ガンディーニでした。彼は1979年にベルトーネから独立しており、1981年に登場したジャルパのデザインを統括したかは明らかになっていません……。ランボルギーニ・ウラッコに装着されているベルトーネエンブレム ガンディー二の作品リストにはジャルパの名が見当たらないことから、直接的な関わりはないとの説が有力です。しかし、ジャルパを見ている限り、ウラッコ&シルエットの発展モデルであることは明白で、そういった意味からはガンディー二の作品ということもできると思います。

 いずれにしてもジャルパは、ウラッコ&シルエットから発展したデザインで仕上げられています。プロデューサーとしてカロッツェリア・ベルトーネが力を発揮したのでしょう。

フェルッチオ・ランボルギーニ博物館に展示されているジャルパ・スパイダー・プロトタイプ

 そんなジャルパに、タルガトップではなく本格的なオープンシーターを、との意向で開発されたプロトイプが、今回紹介する1台。ジャルパ・スパイダー・プロトはフェルッチオ・ランボルギーニのプライベートコレクションを発展させた、フェルッチオ・ランボルギーニ博物館(Ferruccio Lamborghini Museum)で出会った個体です。ジャルパ・スパイダー・プロトタイプ ジャルパ・スパイダー・プロトと呼ばれていますが、じつはベースになったのは、1980年のトリノ・ショーで発表されたコンセプトカーのランボルギーニ・アトン。製作はカロッツェリア・ベルトーネで、ガンディー二の後任としてベルトーネのチーフデザイナーに就任したマルク・デシャンが統括していました。

 もっともアトンは、ウラッコ&シルエットからジャルパへと発展していく第一世代の“ベビー・ランボ”に共通したシャーシを使用していましたから、ベースがジャルパかアトンか、というのは大きな問題ではないでしょう。

 ただし、これがランボルギーニのリクエストで作られたのではなく、ベルトーネがランボルギーニを支援する目的で製作されたことは大きな話題になりました。じつは70年代から80年代初頭にかけて、稼ぎ頭だったトラクター部門の不振をきっかけに、ランボルギーニは経営危機に直面し続けていました。フェルッチオ・ランボルギーニ 1974年には経営権がフェルッチオの許から離れ、1978年にはイタリア政府の管理下に置かれることになります。そしてさらにいくつかの紆余曲折を経た後、1999年にアウディ傘下となり、以後は安定した経営が続いていることは良く知られたところです。

 そうした経緯もあって、ジャルパ・スパイダーが市販されることはありませんでした。実際には1987年からランボルギーニを傘下に置いていたクライスラーの決断により、1988年にはジャルパそのものの生産が終了しています。ジャルパ・スパイダー・プロトタイプ しかし、それはともかくとしても、もともとジャルパ自体が2+2のウラッコから発展したモデルであり、リヤ部分のボリュームが大きすぎるのでは、との懸念もあったようです。確かに今見ても、尻尾が長すぎる印象がありますが、もし発売されていたら、市場の評価がどうだったのか、少し気になるところではあります。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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