長距離移動でも疲れ知らずのコンフォートさを発揮
一気に高級路線に進んだランクル100だが、バン、ワゴンを問わず非常にコンフォートな乗り味だったことを覚えている。それまでセルシオのような高級セダンに乗る機会がなかったためで、4.7L V8エンジン(2UZ-FE)の静粛性とラグジュアリーさは、不慣れゆえに静かすぎて逆に落ち着かないほど。 対してハチマルに搭載された1HD-FTエンジンをベースに、直噴+電子制御化された4.2L直6ディーゼルターボの1HD-FTEエンジンは、最高出力205ps/最大トルク44.0kg-mを発揮。当時としては静粛性と低エミッションを実現しながら、アクセルを踏み込めば大排気量ディーゼルターボによる圧巻の加速感と長距離移動でも楽チンなクルージングを楽しむことができた。
ただし、電子制御高圧噴射ポンプこそ採用しながらも、超高圧噴射を可能にするコモンレール式ではなかったため、ディーゼル特有の黒煙の排出は免れなかった。
ランクル200の超高級化に先鞭を付けた? シグナス
そしてランクル100の発売から遅れること10カ月、ランクル100のガソリンモデル(ワゴン)をベースにしたランドクルーザー・シグナス(以下、シグナス)も登場する。エンジンフードと一体化したメッキグリルや独立4灯ヘッドライト、専用大型一体樹脂バンパーなどの採用で、さらなるプレステージ性を誇った。 その姿は『オフロード界のセルシオ』と評されるほどのゴージャスぶりで、インテリアには専用本革シートのほかセンタークラスターやフロントコンソールパネルなどにウォールナットの本木目が奢られるほどであった。
自動車NOx・PM法で登録不可の地域があるので注意
前置きが長くなってしまったが、筆者がランクル100を推す理由は前述の通り。異論があるとすれば前期型は発売から20年近く経年していることに加えて、ディーゼルモデルは自動車NOx・PM法によって東京/神奈川/千葉/埼玉/愛知/三重/大阪/兵庫(※上記都府県内でも対象外の地域あり)では登録することができないことだろう。 ディーゼルターボの走りを狂信している埼玉在住の筆者や、同じ志向を持つ都市部にお住まいのディーゼルファンの方にとっては非常に残念なことではあるが、環境問題対策となれば諦めるか、引っ越しするかの二者択一しかない。
もちろん対象地域以外であれば登録は可能なので、程度のよい個体に出会うことができればノーメンテとはいかないまでも当分、乗り続けることができるだろう。
価格だけならディーゼルよりガソリンモデルが狙い目!
では、中古車価格はどんなものかと大手中古車検索サイトを覗いてみると、ランクル100の平均中古車価格は241.1万円となっていた。正直、「少し高いな」と感じたのだが、これには少しカラクリがあるようだ。表示された中古車を1台ずつ見ていくとリノベーションされた車両やランクル100のなかでは高年式の2005~2007年式は軒並み300万円オーバーで、なかには400万円台の個体もあった。 また人気のディーゼルモデルはガソリンモデルに対して割高で、同じ2002年式のガソリン車(走行距離9万km)とディーゼル車(走行距離18万km)の価格を比較すると、ディーゼル車の方が2倍の走行距離であっても60万円高い車両価格となっていた。
ちなみに新車価格の高かったシグナスは新車販売台数が少ないこともあってか、中古車のタマ数も少なく平均中古車価格は232.2万円と割安。これはシグナスにはガソリンモデルしかなかったためランクル100のガソリンモデルと同等の値付けになっているようだ。 とはいえ、不人気なガソリン車を選べば車両本体価格が160万円以下のタマ数も多く、低年式でありながらも当時のランクルのハイエンドモデルが100万円代から手に入るというのはとても魅力的。
ランクル300を契約した、あるいは購入を検討しているという人で納車までの間、ランクル100をつなぎで所有してみるのはいかがだろうか? ちなみに貧乏くさい話で恐縮だが、筆者はランクル100を購入できたとしても自動車税10万1200円(ガソリンモデル)を毎年払い続けるのは家計的に厳しい。おすすめしておきながら結果的に購入できないのだが、余裕のある人はオン・オフ、走る道を選ばないランクル100という大人のおもちゃで遊んでみるのもアリだ!