ランクル買うならいま100系がお買い得!
BJ型として、1951年8月に誕生したランドクルーザー。以降、20/40/55/60/70……などの各シリーズが発売され、日本国内はもちろん世界中でいまも愛され続けている。
日本が誇るオフロード界の王様であるランドクルーザーは、大きく3つのカテゴリーに分類され、ヘビーデューティモデルの「BJ/20/40/70シリーズ」、ライトデューティモデルの「70プラド/90プラド/120プラド/150プラドシリーズ」、そしてステーションワゴンモデルの「55/60/80/100/200シリーズ」という具合だ。
ちなみに新型のランドクルーザー300(以下、ランクル300)はステーションワゴンの系譜となる。
ディーゼルターボの楽しさを教えてくれたハチマル
筆者が初めてランクルを体験したのはランドクルーザー80(以下、ハチマル)だ。ハチマルが全盛だった1990年代に、ちょうどクロカン四駆を扱う月刊誌の編集部に所属していたこともあり、数多くのハチマルに触れることができた。
ネオクラ世代の中古車市場が驚くほど爆上がり
話は現在に戻って、ネオクラシック世代(60/70/80シリーズ)のランクル人気がいま急激に高まっている。理由はニーズの高さもさることながら、少しずつタマ数が少なくなりつつあることから中古車価格は高騰する一方だ。
とくに内外装をリノベーションしたランドクルーザー60(以下、ロクマル)やハチマルは、当時の新車販売価格を軽く上まわるほどのプライスタグが付けられている。国内に現存するタマ数が極端に不足しているロクマルは、北米などの海外で買付けを行い販売されているのが現状で、自ずと販売価格は高くなる。このまま行くとスカイラインGT-Rと同じ道を歩むのではないかと不安に駆られるほど。
ハチマルの後継モデルとしてランクル100がデビュー!
そんな状況のなかで狙い目のランクルが100だ。1998年1月に発売されたこの本格派オフローダーは、「The Top of SUV」をテーマに、悪路走破性、耐久性、信頼性などの基本性能を最高レベルにまで高められ、従来モデルのハチマルに対してプレステージ性は高く、もちろん高耐久性と優れた環境性能が追求された。
ラインアップはロクマルやハチマルと同様に、ディーゼルモデルの「バン(2/5人乗り)」とガソリンモデルの「ワゴン(8人乗り)」を設定。グレード展開は「VX(5速MTのみ):価格372万6000円」、「VXリミテッド(4速ATのみ):価格339万8000円」、「VXリミテッド“Gセレクション”(4速ATのみ):価格443万円」の3タイプを用意。車両本体価格はバンとワゴンが同一価格で販売されていた。
また、ハチマルで好評だった8ナンバー仕様のキャンピングカー「アクティブバケーション」(メーカー架装車)を、VXとVXリミテッドにそれぞれ設定。アウトドアシーンやオートキャンプで使えるベッドやシンク、コンロのほか、クォータートリムとの一体感をデザインしたキャビネットがなどが採用された。
長距離移動でも疲れ知らずのコンフォートさを発揮
一気に高級路線に進んだランクル100だが、バン、ワゴンを問わず非常にコンフォートな乗り味だったことを覚えている。それまでセルシオのような高級セダンに乗る機会がなかったためで、4.7L V8エンジン(2UZ-FE)の静粛性とラグジュアリーさは、不慣れゆえに静かすぎて逆に落ち着かないほど。
ただし、電子制御高圧噴射ポンプこそ採用しながらも、超高圧噴射を可能にするコモンレール式ではなかったため、ディーゼル特有の黒煙の排出は免れなかった。
ランクル200の超高級化に先鞭を付けた? シグナス
そしてランクル100の発売から遅れること10カ月、ランクル100のガソリンモデル(ワゴン)をベースにしたランドクルーザー・シグナス(以下、シグナス)も登場する。エンジンフードと一体化したメッキグリルや独立4灯ヘッドライト、専用大型一体樹脂バンパーなどの採用で、さらなるプレステージ性を誇った。
自動車NOx・PM法で登録不可の地域があるので注意
前置きが長くなってしまったが、筆者がランクル100を推す理由は前述の通り。異論があるとすれば前期型は発売から20年近く経年していることに加えて、ディーゼルモデルは自動車NOx・PM法によって東京/神奈川/千葉/埼玉/愛知/三重/大阪/兵庫(※上記都府県内でも対象外の地域あり)では登録することができないことだろう。
もちろん対象地域以外であれば登録は可能なので、程度のよい個体に出会うことができればノーメンテとはいかないまでも当分、乗り続けることができるだろう。
価格だけならディーゼルよりガソリンモデルが狙い目!
では、中古車価格はどんなものかと大手中古車検索サイトを覗いてみると、ランクル100の平均中古車価格は241.1万円となっていた。正直、「少し高いな」と感じたのだが、これには少しカラクリがあるようだ。表示された中古車を1台ずつ見ていくとリノベーションされた車両やランクル100のなかでは高年式の2005~2007年式は軒並み300万円オーバーで、なかには400万円台の個体もあった。
ちなみに新車価格の高かったシグナスは新車販売台数が少ないこともあってか、中古車のタマ数も少なく平均中古車価格は232.2万円と割安。これはシグナスにはガソリンモデルしかなかったためランクル100のガソリンモデルと同等の値付けになっているようだ。
ランクル300を契約した、あるいは購入を検討しているという人で納車までの間、ランクル100をつなぎで所有してみるのはいかがだろうか? ちなみに貧乏くさい話で恐縮だが、筆者はランクル100を購入できたとしても自動車税10万1200円(ガソリンモデル)を毎年払い続けるのは家計的に厳しい。おすすめしておきながら結果的に購入できないのだが、余裕のある人はオン・オフ、走る道を選ばないランクル100という大人のおもちゃで遊んでみるのもアリだ!