この記事をまとめると
■ホンダのスポーティブランドであるアキュラ
■車名はアルファベット3文字で最後はXで統一
■この定義が変わるということはアキュラ自体の方針も変わるこを示唆
NSXとインテグラ……2モデルが入れ替わる意味
ホンダは2021年8月、現行NSXのファイナルモデル、Type Sを市場導入すると発表した。つまり、現行モデルはこれをもって生産中止となる。後継モデルについて、ホンダは明らかにしていない。
アキュラは単なる高級モデルブランドではない
アキュラの歴史を振り返ってみると、ホンダは1986年に北米市場向けとしてホンダのプレミアムブランドとしてアキュラを立ち上げた。プレミアムといっても、単なる高級車という意味合いではなく、ホンダのモノ造りの思想をベースに、さらにスポーティで上質なクルマを目指した。
だが、90年代後半ごろから北米を震源地として、グローバルでのプレミアムカテゴリーに大きな変化が生まれた。
変化はふたつあり、ひとつはミッドサイズSUVとフルサイズSUVの市場拡大だ。このトレンドにデトロイト3(GM、フォード、クライスラー『当時』)とジャーマン3(メルセデス・ベンツ、BMW、VWグループ)、さらに日系プレミアム(レクサス、インフィニティ、アキュラ)が加わった混戦状態となった。
最後がXになる三文字車名をやめることには意味がある
こうしたなか、アキュラが創設当初からの上質でスポーティを維持しながら、モデルラインアップの適材化を図る。ブランディングの一環としたモデル名称は、最後をXとする三文字のアルファベットを採用するようになり、インテグラはRSXとなる。さらに、2010年代に入ると、アキュラの全モデルが最後をXとする三文字アルファベットで統一され、セダンのTLがTLX、同じくセダンのRLがRLXとなった。
これを機に、ホンダ事業全体のなかでのアキュラの立ち位置も変わる可能性が高く、NSXもいったん市場から撤退するとともに、モデル名のXを最後とする三文字アルファベットについても、新生インテグラによって改められることになる。
NSX生産中止とインテグラ復活は、アキュラ戦略の転換を意味するといえる。