名門レーシングチームが新たな挑戦を開始
日本のトップレーシングチームである「チームタイサン」。同チームは国内最大規模のeモータースポーツの大会である「AUTOBACS JeGT GRAND PRIX 2021Series」に参戦を予定している。その挑戦を前に、チームタイサンの千葉泰常代表とチームメンバーの顔合わせが都内で行われた。
名門レーシングチームが「eモータースポーツ」にも活躍の場を拡げる理由とは
eモータースポーツであるJeGT GRAND PRIXは、PlayStation4用のタイトル「グランツーリスモSPORT」で争われる。同シリーズは「モータースポーツとeスポーツのコラボによる新たなレースカテゴリー」として、2019年のプレイベントからスタート。リアルな世界で活躍するプロレーシングチームや自動車関連企業・団体と、世界大会や国体などに出場するトップゲーマーたちが同じ土俵で闘う、リアルとバーチャルが融合したハイレベルなeモータースポーツ大会となっている。
2021年10月2日(土)にスタートするJeGT2021シーズンのTEAM BATTLE(団体戦)には、19チームが参戦。エントリーリストにはプロゲーミングチーム、そしてトラストやHKSといった自動車関連企業やチーム、さらにはARTAやD’station、EVANGELION RACINGといったリアルなレースチームが並んでいる。ここにチームタイサン(Team TAISAN WRF)も加わることになる。
チームタイサンは、1983年にモータースポーツ活動を開始し、WEC、JSPC、JTCC、グループA、さらにはJGTC、SUPER GTなどに参戦。2000年にはル・マン24時間レースにも挑戦するなど、日本有数の名門レーシングチームである。2018年シーズンをもってSUPER GTシリーズから退き、電気自動車レース(全日本電気自動車レース協会JEVRA主催のレース)に集中。ここでの20勝を合わせ、この6月に開催となったJEVRAシリーズ第3戦に優勝したことで記念すべきチームタイサン100勝を挙げている。
そもそもライソンがサポートしている地頭所光選手・EJ千葉選手を通じて、タイサンの千葉代表との繋がりができ、このJeGTへの参戦を相談したことによって今回のコラボレーションが実現した。ちなみにライソンの二戸隆博代表取締役は、Team TAISAN WRFのチームマネージャーを務めることとなる。
千葉代表が語る参戦の真意
ドライバーラインアップは、タイサンのリアルなドライバーである前述の2名。そして、8月に開催された「ドラフト会議2021」でチームが獲得したAランクドライバーの橋本 理選手、同じくAランクドライバーである五木隆太郎選手らを加えたe-sportsドライバー3名というチーム構成となる。ちなみに、2021シリーズに参戦するすべてのチームは、最低1名の選手を今回のドラフト会議にて獲得する必要がある。橋本選手、五木選手ともにJDS(JeGTドライバーズセレクション)に合格したJeGT認定ドライバーである。
今回の参戦について、千葉泰常代表は語る。
「1983年のWECから参戦を初めて、SUPER GTはチームタイサンは卒業しましたけれど、先日のJEVRAで100勝させていただきました。現在もテスラで参戦を継続していまして、この100勝を、110勝、120勝としていきたいと思っています」
「そんななかで、次のモータースポーツとして、このカテゴリーに参戦したいという二戸さんとジョイントしたということです。これをさらに盛り上げていくためにも協力したいということですね。この5人のドライバーはまだ今日顔合わせしたばかりですから、(タイサンのドライバーとして)これからじっくりテストしていきたいと思います」
5人の精鋭ドライバー紹介
チームのメンバーは以下の通りとなる。
EJ千葉選手は、日本人初スタジアムスーパートラックス出場するなどアメリカンレースと国際ラリーを主戦場に、モータースポーツへ30年携わってきた。eスポーツの経験はないがチームタイサンの要としてドライバーをまとめるキャプテンを務める。「チーム総力をあげて表彰台の頂点を狙います!」
2018年から2020年の全日本EV-GPシリーズチャンピオンであり、今シーズンのTGR 86/BRZ Race エキスパートクラスデビューウィンを飾るなど活躍中の地頭所 光選手。バーチャルでもインタープロトeシリーズに昨年から参戦中で、このチームのエースとなる。「グランツーリスモで本格的なレースに出るのは個人でも初めてですが、爪痕を残せるように頑張ります!」
五木隆太郎選手。「グランツーリスモを始めて1年ほどですが、チームの勝利に貢献出来るよう精一杯頑張ります!」
2019 全国都道府県対抗eスポーツ選手権 IBARAKI 神奈川県代表決定戦出場経験があり、バーチャルでのドリフトも得意とする川戸育真選手。「3年ぶりとなるグランツーリスモの大会参戦ですが、優勝できるように精一杯頑張ります」
チームタイサンはこのJeGTでのチーム優勝、そしてバーチャル・ルマン24時間レースといった国際大会への出場を目指し、世界で戦えるチームを目指すとしている。また、eモータースポーツからリアルへ活躍できる道の開拓も探っていくとしている。
JeGT 2021のTEAM BATTLEは、前述の通り10月2日(土)に開幕し、第2戦(11月3日)、第3戦(11月23日)を開催。この予選ラウンド3戦を経てポイント上位10チームが、2022年1月に開催予定のグランドファイナルに進出となる。