昔はダサさの象徴だったアイテムが再評価? 『コーナーポール』カスタム
ひと昔前はボンネットが長いセダンを中心に、よく見かけた「コーナーポール」と呼ばれる棒。助手席側のフロントバンパー角に装着され、運転席からの距離感を把握しやすくするアイテムだ。
車内から必要なときだけ電動で伸縮させるタイプや、夜間でも見えやすいよう先端が光るタイプもあった。
純正オプションのパーツとして多くの車種に設定されていたが、昭和や平成の初期に生産されたクルマは別として、最近ではめっきり見かける機会が減っている。
狭い路地では意外と重宝するコーナーポール
理由は障害物を感知するコーナーセンサーの充実や、見切りのいいコンパクトカーや軽自動車の増加だろう。現在も純正オプションとして設定する車種はあるが、洗練されたデザインのシルエットを崩しかねないこともあって、積極的に選ぶオーナーは少ないのかもしれない。
しかし使ってみると意外なほど便利なのだ。狭い路地を曲がるときや駐車のときはとくに重宝し、コレのおかげで擦らなかったなんて人も多いはず。にもかかわらず運転に自信のないドライバーが使うパーツと思われており、ダサさの象徴として『ヘタクソポール』なんて呼び方をされてもいた。ところが近年になってカスタムの一環として、コーナーポールが見直されつつあるという。
昭和車ブームで今再評価の兆し?
きっかけのひとつは衰えることを知らない昭和車ブーム。純正オプションとして設定された数のピークは2000年代なんて話もあるが、多くの人がコーナーポールから受けるイメージはやはり『昭和』だ。当時から装着率が低かったスポーツカーは別として、セダン系では当時を偲ばせるグッズとして、また他人との違いをアピールする格好の存在として、逆にカッコいいと感じる人が増えたのかもしれない。
実際に旧車のミーティングで参加者に話を聞いたところ、すでに絶版となった車種の純正コーナーポールが、元から数が少ないせいもあり相当な高額になっているとか。ノーマルの姿を大切にしたい派にとっては、他車からの流用や汎用品じゃ装着する意味がなく、あくまでも『純正』にこだわりたいのだという。
コーナーポールがカッコいいとなる日がやってくる?
いっぽうで最近のブームを受けてかは不明だが、アフターパーツとしてのコーナーポールも多くある。取り付けが両面テープで伸縮も手動なら、1000円を下まわる製品も決して少なくない。バンパーに穴を開ける必要がある電動式は、新品パーツに工賃をプラスして4万円~が相場のようだ。
メーカーや車種によってイグニッションのオン&オフに連動したり、スモールランプ点灯と同時に発光するなど、さまざまな製品があるので機能や見た目の好みで選んでいいだろう。最新のクルマならコーナーセンサーやカメラといった、最先端の装備がコーナーポール以上の役割を果たしてくれるし、デザイン的にも似合わないことは確実なので、あえて後付けする必要はないといっていい。
でも少し昔の車種でフロントの距離感がつかみにくかったり、他人と違うカスタムを目指しているのであれば、あえて今コーナーポールを使うのも十分にアリだと思う。現時点ではまだ「ダサい」という認識の人が多いかもしれないけど、一部のカテゴリーで評価する声が高まっているのは事実。便利なことは確実だしいつかは流行がひとまわりして、コーナーポールが『カッコいい』となる日が来るかも!?