光学式に比べて目の焦点が合わせ難く距離感がつかみ辛い
【デジタルミラー】
従来のミラーを液晶画面に変更したデジタルミラーも増えている。ボディの左右や後部にカメラを装着して、後方の映像を液晶画面に表示するものだ。夜間でも明るくて見やすく、荷室にたくさん荷物を積んだときでも後方視界を確保できるといったメリットがあるが、欠点も多い。 もっとも気になるのは、ドライバーの目の焦点が、液晶画面に合うことだ。従来のミラーであれば、目の焦点は運転中には後ろ側の遠方に合っているが、液晶では画面に合わせることになる。そうなるとデジタルミラーは、従来のミラーに比べて、距離感覚を把握しにくい。
例えば走行車線を走っているとき、ルームミラーや右側のドアミラーに、追い越し車線を速い速度で近づいてくる車両が映ったとする。従来のミラーであれば、追い越し車線を走る車両が接近するに連れて、目の焦点も変わるから、距離感覚を把握できる。 ところが液晶画面では、画面内の車両が微妙に大きくなっても、目の焦点はもともと画面に合っているから変化しない。従って距離感覚が把握しにくい。
そして従来のミラーであれば、視野内にルームミラーが入っていれば、前方を見ているときでも同じ焦点距離で後方の様子まで見える。ところが液晶ミラーでは、前方とミラー内の後方では焦点が異なるから、前方を見ているときには焦点が合わず、液晶画面の画像もボケてしまう。 このほか液晶タイプは、表面に映り込みが生じやすい。角度を変えると、通常のミラーとしても使えるが、暗く見えることが多い。このように液晶ミラーには危険が多く、十分に注意すべきだ。セットオプションに含まれている車種も見られるが、省けるようにしてほしい。
とくに高齢のドライバーは、年齢が高まると液晶画面を見るときの焦点移動にも時間を要する。その点で従来の工学式ミラーは高齢者にも優しい。言い換えれば、工学式ミラーは偉大な装備なのだ。