実はミッドシップのマスタングⅠ 2ドア・ロードスター コンセプト
今回紹介するフォード・マスタングI 2ドア・ロードスター コンセプト(Ford Mustang I 2-Door Roadster Concept)も、そんなコンセプトモデルの1台。ですがじつはこれ、実験用プラットフォームのミッドシップに1.5LV型4気筒エンジン搭載したもので、市販モデルのマスタングとは、そのネーミング以外にはまるっきり共通点のないコンセプトカーだったのです。 もう少し詳しくマスタングI・ロードスター コンセプトについて紹介していきましょう。まず使用されたエンジンですが、同じフォードでも米国の本家ではなく、1967年に英国フォードと合流して欧州フォードを構築することになるドイツ・フォード製。前輪駆動にコンバートされて1962年にデビューした3代目タウヌス用に、新開発された1.5Lのプッシュロッド60度V4をトランスアクスルごと移植していました。
同じ手法でフィアットが128のパワーユニット(エンジン+トランスアクスル)をミッドシップに搭載したX1/9をリリースしたのは1972年のことでしたから、それよりも10年も先んじていたことになります。X1/9(とベースになった128)が直4エンジンを横置きに搭載していたのに対して、タウヌスのV4エンジンは縦置きにマウントされていたことで、より重量配分では有利な縦置きミッドシップのパッケージが完成したのです。
鋼管スペースフレームにダブルウイッシュボーン・タイプを組み合わせていた
これを搭載するシャーシ(フレーム)は鋼管スペースフレームで、前後のサスペンションはパイプ製の上下アームで構成されるダブルウイッシュボーン・タイプ。コイル/ダンパーユニットはコンベンショナルなアウトボード式で、前後それぞれにアンチロールバーが装着されていました。
ちなみにブレーキは前後ともにドラム式で、ライバルに想定されたイギリス製のライトウェイトスポーツに比べてロースペックでした。ですが、オリジナルではロータスが軽量クラスのレーシングフォーミュラで好んで使用していたようなデザインのマグネシウム・ホイールを使用しています。